研究課題
基盤研究(B)
カーボンナノチューブ(CNT)は、高い強度や導電性、特異な表面機能や大きな異方性などの特質をもつが、このナノのCNTがもつ特質をマクロの材料に活かすことに成功していない。そこで、ナノサイズのCNTとマクロな材料との橋渡しをする中間素材としてのCNTファイバーに上記特性を発現させ、この高品質ファイバーをデバイス・材料開発の出発素材とする。具体的なデバイス・材料の開発は、ファイバーの表面特性を利用するナノセンサー、ファイバーのナノ構造、強度および導電性を利用する透明薄膜電極、そしてファイバーの三次元集積化構造とその表面特性を利用するスーパーキャパシターであり、CNT特性をこれらデバイス・材料に発現させることを目的とする。今年度の実績として、まず、これまでに開発してきた電気泳動法の高純度・高密度・高配向のCNTファイバー作製技術をもとに、デバイス用素材のための長尺化研究を行った。純水中に分散させたCNTを金属チップ先端に電界力により引き寄せ、引き上げ時の水の表面張力により高密度で純度の高いファイバーを作製した。そして、従来金属チップに印加していた電圧を、新たに挿入する液体電極に加えることにより、引き上げ時の導電性を確保し、CNTファイバーの長尺化を行った。電極に用いる電解質の種類・濃度と引き上げ速度の関係の明確化・最適化とした。その結果、英文誌に発表した。(STAM 11,065005(2010))。また、CNTシートスーパーキャパシター電極の試作を試みた。CNTは比表面積が大きく、高導電性であるので、キャパシター電極として注目されている。我々はCNT薄膜上へのナノMnO_2電析レドックスキャパシターを作製した。CNT分散液を濾過して薄膜とし、その上にMnO_2を電析させ、スーパーキャパシター電極とし、キャパシタンスが大きく増加することを確認した。さらに、グラフェンシートにナノMnO_2コーティングしたレドックスキャパシターも試作した。グラフェンシートにナノMnO_2を電解重合によりコーティングした。MnO_2コーティングにより、キャパシターのキャパシタンスは245F/gから328F/gに増加した。
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