研究課題
臨床診断チップ開発を目指した高感度バイオセンシング技術の開発においては、マーカーの高感度検出技術とマーカー認識抗体をチップに高密度配列させる技術の両方が必要である。本研究では、産総研の周期構造基板(=プラズモニック基板)を利用した高感度蛍光計測技術と、東北大学大学院工学研究科の梅津光央准教授のZnO表面に特異的に結合する抗体断片を利用した抗体固定化技術の異分野融合によって、簡単な装置および操作でマーカータンパク質の高感度検出を実現した。1)抗酸化亜鉛-抗Green Fluorescent Protein (ZnO-GFP)二量化抗体チップによるGFPセンシング基板構造のおよび成膜条件を検討した結果、ピッチ350nmの周期構造上に銀37±3nm+酸化亜鉛17±2nmを成膜することにより、マーカータンパク質green fluorescent protein (GFP)からの蛍光増強度を向上させることができた。このプラズモニックチップ上での抗原-抗体相互作用により、従来よりもGFPを高感度(10pM以下)かつ迅速(10分)に検出することに成功した。2) 腫瘍マーカーセンシング二次元周期構造は、対物レンズによる集光系を用いた顕微鏡による蛍光計測にはより威力を発揮するが、p-偏光を用いた入射系+光電子増倍管を用いた検出系では一次元構造のほうが有利であることがわかった。現在、1)と同様の構造をもつプラズモニックチップで、腫瘍マーカーEGFRの高感度検出にとりくんでおり、10分で700fMの検出に成功した。抗EGFR抗体の注入濃度をあげることにより、EGFRをより低濃度まで検出できることもわかった。
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