研究課題/領域番号 |
22310080
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小穴 英廣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20314172)
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キーワード | ゲノム / バイオテクノロジー / ナノバイオ / マイクロ・ナノデバイス |
研究概要 |
本研究課題においては、顕微鏡下・マイクロ流路チャンバー中で、狙った1個の細胞(シングルセル)から単離したクロマチンファイバーおよびゲノムDNAを対象とし、「顕微鏡下・その場」で特定の修飾を受けたヒストンの蛍光ラベル及びマッピンッグを行うという、個々のゲノムDNAに対するエピジェネティクス解析手法の基盤技術確立を目的としている。また、この手法を実施する際に有用な特異的塩基配列検出技術など周辺技術開発にも取り組む事としている。本年度は、マイクロチャンバー内でクロマチンファイバーを展開・固定するための微小構造体について形状及び配置のピッチについて設計変更を行い、個々のクロマチンファイバーを、より効率良く展開・固定できるようになった。またこれと並行して、抗体染色による空間的位置情報検出の際に併用することが可能な、任意の塩基配列を検出・捕捉する新奇プローブに開発について研究をおこなった。これは、一本鎖DNA(ssDNA)が相補的な配列の検索・結合をする際、この反応を促進することが期待される相同組換えタンパク(RecA)を援用したプローブであり、ssDNA-RecA複合体をマイクロビーズに修飾して作製した。このプローブは光ピンセット操作が可能であり、標的となるDNAとプローブの相互作用の強さを、その場で直接調べることが可能となっている。実験の結果、特異結合/非特異吸着の区別をする事が容易であることを示唆する結果が得られた。また、マイクロデバイス中における局所的な環境場の形成・制御への応用が期待される、新奇ジャイアントベシクルの形成についての知見を纏め、外部発表を行った。次年度は、この新奇プローブの有用性についても更に実証実験を重ねると共に、マイクロ流路チャンバー内でのクロマチンファイバーに対する抗体染色実験についてもその手法確立に取り組む計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一個の細胞から単離したクロマチンファイバーを、微細構造体を配置したマイクロ流体チャンバー内に展開・固定することができている。また、新奇プローブを用いた特定塩基配列の検出・捕捉技術という、当初の研究計画で想定していなかった新しい研究成果も出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
新奇プローブを用いた特定塩基配列の検出・捕捉技術は、有用性が期待されるので引き続き本技術構築に取り組んでいきたい。また、当初研究計画中にある、クロマチンファイバーの抗体染色については、非特異吸着の問題が十分に解決されていない。新奇プローブの知見を利用した、マイクロビーズによる特異/非特異の識別方法について、検討することを考えている。
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