研究概要 |
MEMSデバイスのハンドリングに関わる問題を解決して製造コストを低減するため,現行のシリコンをベースとした基板の上ではなく,最終製品のパッケージ基板となりうるセラミック基板上に表面マイクロマシニングにより直接MEMSデバイスを作製することに取り組んだ. 本年度は主にセラミック基板上に集積する加速度センサ・磁気方位センサの超高感度化に注力した.加速度センサについては,フリンジ電界と強誘電体基板を用いたセンサを新規に提案し,センサ感度(加速度に対する静電容量の変化)をFEM(有限要素法)を用いたシミュレーションにより検討し,予備的にバルク強誘電体基板上にデバイスを作製し,基本動作を確認した(強誘電体薄膜が付与されたセラミック基板上への作製は最終年度に行う). 磁気センサについては,磁気抵抗変化率がMR素子に比べて最大で3桁大きいTMR素子を採用した.CoFeB, MgO, FeNiの3層から成るTMR素子の開発を目指し,スパッタ成膜時間,アニール温度等のプロセス条件の実験的検討を行った.具体的には成膜・アニール条件を変えては膜の磁化磁場特性を本申請で購入した振動試料型磁力計(東栄科学産業,PV-M10-5)を用いて検証することを繰返し行い,大きなMR効果が得られるような最適な条件の探索を行った. 高感度化と並行して,磁気センサの3軸化にも取り組んだ.MR磁気センサの表面にパーマロイ(FeNi)製の磁気収束板を設け,鉛直方向(Z軸方向)の磁界を歪ませて水平方向成分を生じさせ,Z軸方向成分も検出するアイデアを提案し,FEMによる磁場解析により磁気抵抗の変化を定量的に検討した.TMR素子が開発途上のため,替わりにMR素子を用いて3軸MEMSデバイスをアルミナセラミック基板上に作製し,基本動作を確認した.
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