研究課題/領域番号 |
22310087
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古市 徹 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90127134)
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研究分担者 |
石井 一英 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70292050)
翁 御棋 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00612780)
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キーワード | バイオマス利活用 / 食品廃棄物 / バイオガス化 / 事業化 / エネルギー回収 / 動脈静脈連携 / エネルギー効率 / 規模設定 |
研究概要 |
本研究では、前年度に調査したバイオマス賦存量、収集・運搬体系の検討結果を踏まえ、石狩湾新港地域から排出される食品廃棄物(生ごみを含む)を対象としたバイオガス化事業(民間主体)について、事業が成立する施設規模とコストの関係を明らかにすることを目的とした。まず、当該地域での既往の研究から推定された食品廃棄物収集量(産業廃棄物1.04t/日、家庭ごみ35.9t/日、事業系一般廃棄物36.0t/日)を最大収集量と仮定した場合の事業採算性を計算した。 次に、食品廃棄物処理料金を一定額に固定(産廃:8000円/t、事業系一般廃棄物11000円/t)した場合の事業が成立する事業系一般廃棄物と家庭系生ごみの最低受入量の関係を示した。この場合、家庭系ごみの受入料金を焼却処理にかかる費用について、現行(22,000円/t)通り、1割引、2割引、3割引の4通り、さらにバイオガスの利用方法について、発電(全量買取制度適用を考慮し、20円/kWh)とバイオガス原料としてガス会社に売却(60円/m3と100円/m3)の2通りを設定して計算を行った。 その結果、以下の結論が得られた。 (1)既往研究での食品廃棄物収集量を最大収集量として想定した場合、産廃と事業系一廃のみを受け入れることとすると現行の処理料金では事業は成立しない。産廃・事業系一廃に比べ高い料金の設定が期待できる家庭系生ごみの受入が必要である。 (2)産廃及び事業系一廃の処理料金を現行と同額とした場合に、事業が成立する事業系一廃受入量・家庭系生ごみ受入量及び家庭系生ごみ処理料金の関係を導き、事業成立する最低の施設規模ラインを明らかにした。 (3)バイオガスの利用方法としては、電気の全量買取制度を適用したとしても、LNGプラントへ都市ガス原料として利用する方が採算性は向上する。 以上より、当該地域の食品廃棄物の発生特性と事業採算性を踏まえた食品廃棄物バイオガス化施設規模の決定手法を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した地域特性と事業採算性を踏まえたバイオガスプラントの施設規模のスケールと事業採算性やエネルギー効率の関係を把握することができ、他の地域でも適用可能な施設規模設定手法として提案することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である来年度は、当初予定通り、地域特性に応じたバイオガス事業の最適システムの提案を、エネルギー連携性、温室効果ガス発生抑制効果、化石資源代替性、事業採算性の点から、総合的に行う予定である。
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