研究課題/領域番号 |
22310090
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
出口 弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60192655)
|
研究分担者 |
市川 学 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60553873)
田沼 英樹 東京工業大学, エージェントベース社会システム科学研究センター, 特任講師 (50396892)
|
キーワード | SOARS / 社会システム / シミュレーション / 社会デザイン |
研究概要 |
昨年度は、「応用の拡大とそれによるライブラリアーキテクチャの改良」をテーマに、以下の3点について研究を行った。 1)シミュレーションベースの机上演習モデルの研究と開発 領域専門家が社会的問題解決を行うためのコミュニケーション環境としてエージェントベースシミュレーションを用いた机上演習を利用するにあたり、ユーザーインターフェースの整備が必要となった。特にシミュレーションモデル作成者のみではなく、モデル利用者向けのインターフェースの充実を図ることとなった。 2)新型インフルエンザ等の感染症を例とした再利用可能なモデルコンポーネントのライブラリー構築ライブラリー構築において、大まかにまず全体モデルからコンポーネントを抜き出す手法と、最初からコンポーネントとして部品を設計する手法があり、一長一短がある。当研究においてはまず前者の手法で必要となるコンポーネントを抽出し、後にインターフェースの整備を行った上で後者の手法でコンポーネントの追加を行いライブラリーの構築を実施した。これにより机上演習等への対応が容易となった。 3)組織シミュレーションのためのモデルコンポーネント作成 現在、上場企業の財務諸表が金融庁のEDINETから電子的に取得可能であり、これをもとにした経済シミュレーションを構築することでヒト・モノ・カネを全て組み込んだ形での組織シミュレーションが可能となる。そのための基礎として、まず会計情報を代数化したMAAL(Algebraic Account Description Language)とのリンクをSOARSに組み込んだ。これを基に発展させたデータベース機能を有するDCL(Data Compilation Language)を組み込むことで、上記の様な組織シミュレーションが構築可能であることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究テーマの成果が互いに影響を及ぼしあい、良好な成果が得られている。特に最初のテーマである「シミュレーションベースの机上演習モデルの研究と開発」の成果としてSOARSのユーザーインターフェースの整備が行われた結果、他のテーマにおけるライブラリーやコンポーネント開発において強力な支援となった。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに多くの専門家と問題解決を行うための社会シミュレーションモデルの構築経験を積み、国内外での研究の進捗報告において、本研究の有用性を発表してきたことをふまえ、前年度に開発したモデルライブラリを公開することを1つの大きな計画とする。そのためには、これまでの構築したモデルを再度見直し、ライブラリとして登録・公開するための編集を行い、同時にモデルライブラリの利用法をまとめる必要がある。 これらをふまえ、これまでの成果をまとめるとともに、国内外での発表および報告書の作成を行い、さらにWebページ上でモデルライブラリを公表し、広く成果を問う予定である。さらには、今日発展が著しいクラウドシステムの利用も検討している。
|