社会科学の分野では広く適用されている効率性分析の考え方を工学分野へ展開することを目的として、効率性分析手法である包絡分析法の拡張と開発を引き続き行った。当該年度に実施した研究は、主として相反する複数の評価視点がある場合の統一的で合理的な評価基準に関することと不確実性の下での効率性評価を中心に行った。 複数の評価視点を有する問題に対しては、評価基準が相反することが多く改善目標も明確にはならない。このような状況においてゲーム理論における交渉解の概念を用いた評価モデルを開発してきたが、単一指標に対する改善目標を与えるものであった。これをより一般的に複数の指標対する改善目標を与えることのできる評価モデルを構築した。 観測誤差や予測データに基づいた評価においては、データのもつ不確実性を考慮に入れる必要がある。そのために確率的計画法の枠組みによる確率的DEA法についての考察を行い、不確実性の程度の及ぼす効率性評価についての知見を得た。さらに、予測データを用いた効率性の将来予測に基づいた意思決定への適用可能性について検討した。
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