研究課題/領域番号 |
22310099
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 憲夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026296)
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研究分担者 |
矢守 克也 京都大学, 防災研究所, 教授 (80231679)
畑山 満則 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10346059)
横山 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
竹内 裕希子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40447941)
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学部, 教授 (80260644)
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キーワード | 住民参加型技法 / コミュニカティブ・サーベイ / 地域防災 / 四面会議システム / 減災 |
研究概要 |
平成23年度の研究活動は下記である。 1)岡田が中心となり、コミュニカティブ・サーベイ手法の方法論的位置づけや理論的基盤の構築と適用の可能性について国際シンポジウムや定期的研究会でグループ全体で議論した 2)横松が中心となり、インドネシア・メラピ火山噴火により発生する大量の土砂の経済資源価値と経済的利益を整理し、現地の大学の研究者らとの相互学習型討議により,長期的に土砂を適切に管理し、復興資金の獲得に資する土砂管理基金システムの定式化を行った。 2)羅・岡田が中心となり、インドネシア・韓国・京都・智頭において、四面会議システムと三段階システムを用いたコミュニカティブ・サーベイ手法の検討を継続した。また防災教育、防災計画活動などへの適用を目指した検討を行った。 3)竹内が中心となり、インド・チェンナイ市における防災教育に関する調査を継続して実施した。2004年にインド洋津波で被災したインド南部での調査結果から、東日本大震災への還元を念頭にこれまでの継続性の要因と課題を整理した。 4)矢守・渥美が中心となり、コミュニカティブ・サーベイを、当事者と研究者の協働的実践、あるいは、異なる現場に生きる当事者群を研究者が橋渡しする実践から「共同知」を生み出すプロセスとしてのアクションリサーチを基礎づける方法論として位置づけた。防災ゲーム「クロスロード」を用いた防災教育、東日本大震災と阪神・淡路大震災の被災者間交流などの事例を通して、方法論の意義と課題について実践的かつ理論的に検討した。新潟県中越地震および中越沖地震の被災地での復興過程で体験した手法を再吟味し、東日本大震災の被災地との交流というツールについて模索した。 5)竹内が中心となり、東日本大震災において被害を受けた地域の小・中学校校長並びに教育委員会への聞き取り調査を実施し、災害時から復旧・復興期における学校施設の課題と地域との関わりについて整理を進めている。この調査過程においてインタビューを受ける側とする側の信頼性の構築と構造について模索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は、これまで個別に検討・実践されてきた地域防災の実施を支援するツールを複数融合して、地域の「concern」の可視化をしコミュニケーションを主体とした調査手法を検討することを目的としている。平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、防災研究、復興研究に携わってきた本研究課題の研究者達にとってまさに適用が求められる現場であると判断し調査対象域に加えた。これにより研究内容を東日本大震災への復興、さらにはその先の防災対策へとつなげることにまで発展させる試みをしている。このため当初の計画以上の進展をしていると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災、中越地震・中越沖地震、阪神淡路大震災、アジアにおける様々な災害後の取り組みを実践的に展開してきた内容を整理し、理論的に検討して、実践を推進する。その際、国際的なミニセミナーなども活用して、成果の意義と課題について広範な議論を行う。さらに東日本大震災の被災地の復興への貢献に反映すること、近い将来発生が予想される東海・東南海・南海地震の想定被災地を橋渡しする実践のための課題についても検討する。また防災だけではなく、多様な地域リスクにさらされている地域コミュニティの内発的で持続的な地域経営・まちづくりの現場らにも適用して、コミュニカティブ・サーベイの複合的多角的プロセスを明らかにするための方法論的検討を理論と実践面から継続することを目指す。なおこれらの広範な研究を効果的に実施するには、経費的に不足するので、関連する研究活動の研究資源も有機的に活用するなどの工夫が必要になる。
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