研究概要 |
教育用VRシステムのプロトタイプを実装した.一般に公開されているデータベース,企業から入手した事故・ヒヤリハット情報を解析した.企業,安全専門家の意見により,運転訓練の対象とすべき事故事例を選定し,選定した事故事例について,正常な操作,事故に至る操作手順を明確にし,教育・訓練シナリオを策定した.これら情報を,ダイナミックシミュレータ,仮想現実感システムと統合するためのインターフェースを開発した.教育・訓練シナリオはフローチャート形式で記述するが,ユーザがシステム入力するためのインタフェースを実装した.また,訓練シナリオをVR上に反映するためのシステムを構築した. ダイナミックシミュレータを中核とするプラント運転手順教示システム(異常進展解析・異常挙動予測システム.異常対応決定支援システム)を実装した.仮想実プラント-運転手順教示システムの双方のシミュレータを統合し,対応操作に応じた運転をDCS上から可能とした.化学プラントの一部を対象として,異常時の対応を手順をPC上で表示し,運転員の操作を支援するシステムを開発した.さらに,この情報をVR上で表示し,現場での操作を仮想実プラントに反映させるためのシステムを開発した.プラント挙動,運転員操作に応じて,仮想現実感のグラフィックス-アバター(仮想運転員)を制御する必要がある.アバター(仮想運転員)の行動,例えばバルブ操作をディジタルプラントに反映するための制御用ソフトを開発した.これにより,運転員の誤操作,回復操作によるプラント挙動をVR環境で実現することが可能となり,実際のプラントに類似した環境で教育・訓練が可能となった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の実施計画において,主な目的は教育用VRシステムの開発・実装を行うことをであった.事故・ヒヤリハット情報処理システム構築と運転教育・訓練シナリオの抽出のためのシステムプロトタイプを構築するととともに,仮想現実感システムと統合するためのインターフェースを開発した.また,これらをダイナミックシミュレータと統合し,教育用VRシステムの基本的な構成については実装した.これらのことより,おおむね順調に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
教育用VRシステムの基本的な構成は決定し,プロトタイプを開発・実装したが,今後はこのシステムを実際に活用できるよう開発研究を継続する.プラント事故・事象を教育用VRに再現するためには,企業専門家の知見が必要であり,これらを反映したVRシステムとする.さらに,教育効果について検証・評価する手段について検討する.
|