研究概要 |
今年度は,駿河湾~相模湾地域の堆積平野部において,微動観測を実施し,地震波干渉法に基づく処理によって2つの観測点間のグリーン関数を抽出し,その表面波成分の分散性状から地下構造の影響を評価した。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)微動の長期連続観測の実施 相模湾および駿河湾沿岸地域における24地点において微動長期連続観測を継続し,データを蓄積した。 (2)地震波干渉法による表面波の抽出 (1)の観測のうちで関東平野で得られたデータに地震波干渉法に基づく処理を行いの各2地点の間のグリーン関数を求め、そのマルチプルフィルター解析によって分散性を有したレイリー波およびラブ成分の抽出を行った。 (3)群速度の推定と既往の地下構造モデルとの比較 上記(2)の検討から得られるグリーン関数のレイリー波およびラブ波成分の群速度を周期2~6秒の周期帯域で求め、既往のS波速度構造モデルから推定される理論値と比較した。その結果,関東平野中央部では観測値が理論値で説明できるが,平野端部や相模湾域では既往のモデルによって説明できない部分もあり,モデル修正の必要性を指摘した。 (4)3次元地震波動伝播シミュレーション 関東平野での既存の3次元地下構造モデルでの表層部分の'S波速度の不均質を考慮した地震動シミュレーションを行った。その結果は,観測された長周期地震動の特徴をより説明できるものであり,深部地盤の表層部分も長周期地震動の評価には重要であることがわかった。
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