研究課題/領域番号 |
22310111
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
川村 隆一 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (30303209)
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研究分担者 |
松浦 知徳 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (10414400)
飯塚 聡 独立行政法人防災科学技術研究所, 観測・予測研究領域 水・土砂防災研究ユニット, 主任研究員 (40414403)
一柳 錦平 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50371737)
富田 裕之 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究技術専任スタッフ (10435844)
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キーワード | 自然災害 / 大気現象 / 洪水 / 減災 / 海上安全 |
研究概要 |
大気再解析データ(JRA/JCDAS)から見出された冬季東アジアモンスーン強弱と爆弾低気圧活動の集中化・散在化を検証するために、領域大気(WRF)モデルを用いて海面水温(SST)を変化させた総観規模擾乱活動の再現実験を行い,結果の妥当性が確認された。昨年度に引き続き中緯度の海洋フロントが大気と海洋に与える影響にゐいてJ-OFURO2や観測データを中心に調べた。特に雲・降水への直接的な影響とそのプロセス、また総観場との関係について新たな知見が得られた。 富山,熊本,石垣島の降水同位体比を観測した.また,冬季日本海起源の水蒸気による降水同位体比について既存文献や観測値からd-excessを比較し,日本海側と太平洋側の水蒸気起源は違うことを明らかにした。2010/11年冬季を例に,富山で降水起源の特異性がみられた日の大気循環場を調べた結果、多くの事例で爆弾低気圧が関与し、爆弾低気圧の発達に寄与する水蒸気起源について新たな知見が得られた。 富山湾特有のうねり、「寄り回り波」の海底地形の影響について波向線プログラムを使って、富山湾沿岸の17に区分した海域に対して調べた。特に、波浪推算モデルWWIIIから推算したうねりの波高、波向、周期を入射条件とした2008年2月24日に発生した寄り回り波について求めた結果(最高波高)は富山と伏木富山のNOWPHASの観測結果と良い一致をみせた。また、富山の海岸線を高精度でモデル化するAMR(Adaptive Mesh Refinement)の開発が進展した。 温暖化が進行した将来気候における日本周辺の爆弾低気圧活動を調査し、日本海側の豪雪発生の頻度と爆弾低気圧活動との関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
爆弾低気圧活動の変動機構や同位体循環モデルを用いた解析については、当初は予想していなかった発見的な成果も得られ始めている。一方、気象・海象災害発生の特異性の原因究明については、更なる進展が必要である。したがって全体的に見れば、当初計画以上に研究が進んでいるとまでは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
爆弾低気圧活動を支配する具体的な要因が得られ始めており、最終年度にはその変動機構をまとめる予定である。また、高解像度の衛星データや現場観測データからは、海洋フロントが大気海洋へ与える影響は総観場の状態によって大きく異なることが明らかになりつつある。それらの知見を踏まえてより包括的な解釈を進め成果をまとめる。今年度計算した富山湾沿岸の17海域について寄り回り波の最大波高を再現した結果を利用して寄り回り波浸水危険度図の作成を試みる。また、AMR法による寄り回り波シミュレーションを推進する。 爆弾低気圧情報データベースを完成させ、情報公開により、爆弾低気圧による災害の軽減・防止に貢献する。
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