研究課題
高分解能の海面水温と空間的に平滑化した海面水温を境界条件に与え、1993/1994年から2010/2011年までの18冬を対象に5メンバーの領域大気モデルの物理アンサンブル実験を行い、海面水温勾配が低気圧経路に与える影響を調べた。その結果、日本南岸の黒潮流軸上や日本海の極前線付近に低気圧経路が集中する傾向が見られた。両実験において大気側方の境界条件は共通していることから上空の渦度輸送の影響は無視できると考えられるので、黒潮や対馬暖流などに伴い生じる海水温前線付近での莫大な潜熱フラックスにより対流不安定の状態に成りやすいことや、潜熱フラックス差に伴い大気下層の傾圧性が局所的に増加することにより、低気圧経路の集中化が生じることが示唆された。黒潮続流域における大気総観模擾乱に伴う海面熱flux変動について、衛星海面fluxデータセットと現場観測データを用いて調べ、気象擾乱通過時の海面flux変動とそのメカニズムについて明らかにした。また、日本の春季の大雨イベント発生の実態と総観規模擾乱活動の果たす役割について新たな知見が得られた。2012年4月3日に日本海上で発生・発達した爆弾低気圧に伴う高波浪に関して、2008年2月の寄り回り波、2004年2月と11月の高波浪発生事例と比較し、その発生原因と発達メカニズムについてWWIII波浪推算モデルを使って調べた。その結果、スペクトル解析から今回の事例は、スペクトルピークにおいて風からのエネルギー輸送項(エネルギー入力項)が他の事例と比べて2倍程度大きく、その影響で波浪が急激に発達し、最も大きなエネルギーを有したことを定量的に明らかにした。さらに、「寄り回り波」による富山湾沿岸の初期の入射波高、波向、周期による最大波高マップを作成した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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