本研究では、分裂期(M期)染色体凝縮因子であるコンデンシンの機能を、核小体での役割を中心に解析することを目的にした。真核生物には2種類のコンデンシン(コンデンシンIとコンデンシンII)が存在しており、2つのタイプともに核小体に高濃度に存在している。 コンデンシンは、M期には染色体に局在し、M期終了時にPP1とPP2Aの二つのタイプのホスファターゼにより脱リン酸化しM期染色体から解離し局在を変化させる。このホスファターゼでのコンデンシンの脱リン酸化がコンデンシンの間期における局在変化、及びにその機能発言に重要な役割を重要であると考えられる。 申請者らは、コンデンシンの制御因子であるPP1のアイソフォームのうちで、核小体に存在するPP1-gammaが、核小体因子であるNOL11と相互作用することを見出した。また、NOL11は他のいくつかのタンパク質と複合体を形成すること、核小体RNAを足場として、間期では核小体にM期には染色体に結合することを見出した。この結果は、いくつかの核小体因子がRNAを足場としたRNA-タンパク質ネットワークを形成することを示している。 NOL11を含んだタンパク質複合体が、間期核小体でpre-rRNAの転写とプロセシングに機能することが報告されている。申請者は、この複合体がM期には、Aurora Bキナーゼの動原体への局在制御を介して、正常なM期染色体動態制御にも機能することを見出した。
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