研究課題
炎症刺激で活性化された遺伝子が、組織化されたRNAポリメレースII(Pol II)を含む転写ファクトリーに動員されて転写されるという仮説を検証するため、下記4項目を主眼とする研究を提案し初年度下記の成果を得た。(1)100kb以下の遺伝子の転写の波の観測:共同研究者が作製した新規抗体群から世界に先駆けて活性型Pol IIの局在を高速シーケンサーによって300bp以下の解像度で観察する抗体を同定し、今後詳細な時間分布変動解析が可能となった。(2)Chromatin Conformation Capture (3C)によるクロマチン構造変化の観察:TNFα応答遺伝子間の空間的近接関係を明らかにするため、誘導される巨大遺伝子のPol II分布領域に設計したprimerによるPCR産物を3Cで作成し、直接シークエンスして反対側の近接部位を同定する、Activated Chromatin Trap (ACT)-Seqに成功し報告した。更に網羅的な遺伝子間近接関係を証明するためのchromatin interaction analysis using paired-end tag sequencing (ChIA-PET)で予備データを得て、ゲノム空間座標のマッピングが可能となった。(3)転写複合体に含まれる蛋白成分のプロテオミクス解析による同定:Pol IIに対する抗体を用いたHela細胞のプロテオミクス解析によって複合体の有力な候補を同定し、同様の手法を内皮細胞の刺激誘導系へ適用する事が可能になった。(4)ファクトリーへの遺伝子動員におけるエピゲノム修飾の役割:転写における重要性を示す為、ヒストン修飾酵素及びインスレーターをノックダウンした細胞でChIP-Seqを行い、Pol IIの局在が経時的に大きく影響することを見出した。以上今年度はファクトリー仮説を検証する上記4項目について基盤となる抗体作成、基礎データ集積が達成された。
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