研究課題/領域番号 |
22310124
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 修 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40142111)
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研究分担者 |
市瀬 夏洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70302750)
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キーワード | アラインメント / ゲノム / 比較ゲノム / スプライシング / 選択的スプライシング / 遺伝子発見 / アルゴリズム / 生物進化 |
研究概要 |
本研究課題の第一の目的は、大量の転写産物配列を既知のゲノム配列に対してマップし、イントロン介在の可能性を考慮しながら正確なアラインメントを行うソフトウェアツールの開発である。平成22年度は主に後段のアラインメント段階について精度の向上を図った。具体的には、生物種ごとに変化するスプライシング機構の特徴量を考慮できるよう、申請者独自のマッピング・アラインメントツールである「Spaln」の改良を試みた。まず、ほぼ完全なゲノム塩基配列と一定数以上の転写物配列が入手できる61種の真核生物それぞれについて原典版Spalnを適用し、高精度のイントロン情報のみを選択的に入手した。これに基づき、スプライシングに関わるシグナル強度を定量化して様々な生物種間で比較した。一般に進化的に近縁の生物種は、イントロンの認識において類似のシグナルと相対的な強度を用いるものの、特に植物の系譜で個性的な特徴を示す生物種がいくつか見られた。このようにして得られた生物種固有のシグナルをSpalnアルゴリズムに取り込むことにより、原典版に比べて有意な精度向上が達成できることを確かめた。この効果はゲノム配列と転写産物とが異なる生物種由来である場合に特に大きかった。また、課題であった25bp以下のマイクロエキソンの検出能力も大幅に改善することができた。公開されている多くの同種のプログラムと比較したところ、改良版Spalnがもっとも高精度であり、実行速度の面でも優れていることが分かった。
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