研究課題/領域番号 |
22310131
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高倍 昭洋 名城大学, 総合研究所, 教授 (80097766)
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研究分担者 |
田中 義人 名城大学, 理工学部, 教授 (10247679)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 耐塩性ラン藻 / グリシンベタイン / 塩ストレス / 環境 / 食糧 / 植物 / 遺伝子工学 / 浸透圧 |
研究概要 |
死海という高塩濃度のもとで生育する酸素発生型光合成生物ラン藻 Aphanothece halophytica の塩ストレス適応機構を解明し、その成果を塩・乾燥に強い植物の開発に生かすことを目的としている。 申請者達は、このラン藻は通常のF-type H+-ATPase とともにF-type のNa+-ATPase と思われる遺伝子をもつことをみいだした。実際に新規F-type ATPase遺伝子を単離し、F-type ATPase をもたない大腸菌の変異株DK8 にプラスミドの形で導入し、これがATP の加水分解活性、合成活性を持つことを明らかにし、論文として発表した。このラン藻は浸透圧適合溶質ベタインをコリンの酸化でなくグリシンのメチル化で合成するというユニークな生合成系をもつ。ベタイン蓄積にはグリシン前駆体の供給が重要であることが明らかになったので、セリンヒドロキシメチル転移酵素遺伝子をA. halophyticaからクローニングし、塩ストレス耐性に及ぼす役割を明らかにし、論文として発表した。また、ラン藻がリン酸化経路によるセリン合成を行うことができるかについても検討を進めている。 A. halophytica のベタイン合成に関与する2個の遺伝子を塩に弱いAnabaenaに導入して、Anabaenaの塩ストレス耐性が向上することを示し、論文として発表した。A. halophytica のアルカリフォスファターゼD(PhoD)が塩ストレスにより誘導されることを見出したので、PhoD遺伝子を単離しその生化学的性質を調べ論文として発表した。 ラン藻のアミノ酸トランスポーター遺伝子の研究は今後の課題である。A. halophytica からグルタミン酸トランスポーターと思われる遺伝子を単離し、その生化学的性質を調べ論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の年度目標はほぼ達成しており、論文としても発表してきているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の推進方策に従い、実行あるのみである。
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