研究概要 |
当研究室に構築した天然物抽出エキスライブラリーを用いて,TRAIL,ウィント,ヘッジホッグ等のシグナル分子を標的とした天然物の探索を行った. 1.TRAILシグナル経路におけるデス受容体DR5を増強させる天然物のスクリーニングを行った.ルシフェラーゼ試験法により活性を示したトウダイグサ科Euphorbia neriifolia葉部のメタノール抽出物について活性を指標とした分画を行い,7種の新規シクロアルタン型トリテルペンおよび1種の新規インゴールジテルペンを単離した.これらの中には強いデス受容体増強作用を示すものが含まれていた. 2.TRAIL耐性AGS細胞に対する耐性克服作用を示す天然物の探索を行い,アオイ科Sida acuta全草抽出物より活性アルカロイド成分としてクリプトレピンを単離した.またセンダン科Amoora cucullataからは,4種の新規化合物を含む11種の化合物を単離した.これらのうち最も低濃度で強力な活性を示した1-ホルミルロカグロ酸は,TRAILとの併用によりカスパーゼの活性化やクロマチン凝縮を示したことにより,アポトーシスが誘導されることが判明した,またDR5のメッセンジャーRNAの発現上昇も認められたため,本化合物のTRAIL耐性克服作用にはデスレセプターの発現上昇を介していることが示唆された. 3.ウィントシグナル阻害成分として,千葉県産放線菌よりノカルダミン等の含窒素環状ラクタム化合物を単離した.また,ヘッジホッグシグナル阻害成分としてマメ科Acacia pennataよりジテルペン,セスキテルペン,およびフラボノイド配糖体を各々1種ずつ単離した.
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