研究概要 |
EGFによるA431細胞の遊走にはRac1の活性化が重要であることが知られている.CysLT1特異的アンタゴニストは12時間のRac1の活性化を阻害した。このことからCysLT1下流にRac1シグナルがあることが示唆された。一方,この12時間のRac1を活性化させるタンパク質としてTiam1が重要であることを明らかとしたがその発現上昇機構は不明であった.そこでTiam1の発現上昇におけるCysLT1の関与を検討した。TiamlはEGFによって6時間から発現上昇し、CysLT1の特異的アンタゴニストはEGFが誘遵するTiam1の発現量上昇を濃度依存的に抑制した.このことからEGFによるCysLT1の発現上昇誘導によってTiam1/Rac1を介した遊走シグナルを伝えている事が示唆された.一方,シャペロン介在性のオートファジーとは、オートファゴソームを介さずに基質タンパク質が直接リソソームに分解される経路であり,その代表的な基質がα-synucleinである.そこでSO286がシャペロン介在性オートファジーを介してa-synucleinを分解するのかを評価した。 α-synculenのhsc70認識配列は95VKKDQ99であるため、DQ配列を欠損した変異体α-synuclein△DQを作製した。野生型、変異型をそれぞれ安定過剰発現した細胞を作製し、SO286によりその発現量に変化があるかを評価した。その結果、野生型α-synucleinはSO286の添加により顕著に分解されたのに対し、変異型α-syncleinΔDQは発現量に変化はなかった。以上よ.り、SO286はシャペロン介在性オートファジーを介してa-synucleinを分解していることを示唆した。
|