研究課題/領域番号 |
22310149
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 健一 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50505443)
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研究分担者 |
増田 美砂 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70192747)
杉藤 重信 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (70206415)
伊藤 太一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40175203)
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キーワード | 伝統知 / 環境ガバナンス / 先住民族 |
研究概要 |
今年度の研究実績は(1)論文等の出版、(2)シンポジウムなどの開催、(3)ウェブサイト更新、(4)現地調査、(5)国内外ネットワーク拡充、(6)教育活動へのフィードバックに分類できる。以下項目ごとに説明する。 (1)査読入論文をアメリカUCLAの学術雑誌から1本と日本の学術図書から1章を出版した。ほかには11月に図書の原稿を筑波大学出版会へ提出し、査読中である。3月はじめに学術雑誌へ論文を投稿した。 (2)5月に外務省の気候変動課課長を招聘した。12月に国連大学高等研究所で国際シンポジウムを開催し、ブラジルやカナダ、インドから講演者を招聘した。これを契機に上記の図書出版編著を手がけている。 (3)ウェブサイトは内容を拡充し、データベースをデザインしデータ入力をすすめている。現地フィールド調査を次のトピックで行った:モンゴルの遊牧民の伝統知、バングラディッシュの農地における女性の伝統知、ベトナムの結婚式に関する伝統知、中国如皋市における伝統的都市計画の伝統知、沖縄読谷村の伝統知、広島県宮島の管絃祭をとおした伝統知、北海道白老・二風谷アイヌ民族の伝統知、カナダ先住民族の伝統知、オーストラリアのアボリジニの伝統知。また、文献調査をアメリカの議会図書館、スミソニアン博物館群、加のブリティッシュ・コロンビア大学図書館で行った。 (4)海外ネットワークは、オースラリア国立大学、豪連邦科学産業研究機構、米のフォーダム大学、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学、伯連邦パラ大学とEMBRAPAへ広げた。独ミュンヘンにあるレイチェル・カーソン・センターとも今後共同研究の可能性が生まれた。国内は国連大学高等研究所とパートナーシップを維持している。学内では、新たな「研究グループ」を立ち上げた。 (5)伝統知を研究する学生が2名増えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出版、研究連携、現地調査は計画通りか想定以上によい方向へすすんでいるといえる。ただ、データベースの作成が、知的所有権の問題や倫理問題をクリアすることから始めているため、時間がかかっている。しかし、権利問題・倫理問題をクリアすることはきわめて重要であり、これなしには次の段階へ進むことはできない。そういう意味で、先端をいく倫理的な体制を着実に構築することを当面の課題と考えている。この方向性は、当初の計画との大きなズレはない。還元すれば、倫理問題に想定以上の時間をかけて慎重に対応しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
伝統知のデータベース化には先住民族や地元民との協力体制を構築する必要がある。ここが1番のボトルネックとなる。そのため、世界の先端をいく倫理体制を構築するとともに、各国の研究者と問題点を共有・意見交換しながら研究をすすめていくことが必要である。この点については現在研究しており、その成果を著書として出版する計画で動いている。来年度は、これまで以上に先住民族との協力体制をはかることも必要であると考えている。データベースについては、基本的に教育・研究ツールとなるものを目指している。
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