基礎調査のデータをもとに県庁や村評議会と活動の方向性について協議し、基本的な方針を1.食料の安定生産、2.経済活動の起業、3.環境保全とすることで合議したうえで、平成22年度はそれぞれの枠組みを横断するいくつかの活動を起案した。また、活動を主導する住民グループを正式に組織して村内にオフィスと倉庫を建設するとともに、村および県に登録してグループの銀行口座を開設した。住民グループを行政に登録することで、政府機関が提供する助成金に申請できるようになった。 住民グループと頻繁に協議しながら以下のような活動を実施した。 1. 食料の安定生産:(1)トウモロコシ改良種の環境適応性ならびに経済性を検討するため、市販の改良種7種類を購入して化学肥料を用いた栽培試験を実施した。収入を試算するため、必要経費や労働投入量などを詳細に記録した。(2)イネ科作物に寄生して深刻な被害をもたらす雑草Striga spp.が同地域にもひろまりつつあるため、主食用イネ科作物(トウモロコシなど)の代替作物としてジャガイモの導入を試みた。ジャガイモがこの地域の環境にも適することを確認したのち、他のジャガイモ栽培地を視察して栽培や出荷に関する様々な知見を得た。(3)住民グループにメスの子牛を供与し、このウシの飼養を通して「共有」の意義や堆肥生産の重要性について協議するとともに、堆肥を生産するための施設を設計した。 2. 経済活動の起業:穀物価格の季節変動が住民の生計に大きな負担となっていることを受けて、倉庫を用いた出荷調整の可能性を検討し、2011年の収穫期から村内で集荷・保管・出荷する計画を立てた。 3. 環境保全:住民グループのメンバーとともに他州で実用化している小水力発電の現場を視察した。その後、住民グループや民間の技術者と協力して、廃材から水車を試作し、村を流れる川に設置した。設置の際様々な問題点が顕在化してきたので、その対策についても協議した。
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