研究課題/領域番号 |
22310157
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (90336701)
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研究分担者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
落合 雪野 鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (50347077)
岩井 雪乃 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 助教 (80507096)
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キーワード | CITES / 稀少生態資源 / 展覧会実践 / 公園管理 / 環境NGO |
研究概要 |
研究代表者の赤嶺は、ワシントン条約(CITES)の附属書IおよびIIに掲載された水棲動物を精査した結果、条約成立当初から1990年代を通じ、基本的には「生息地域が限定され、しかも食用種ではない生物」が多いのに対し、2002年以降に掲載されたものは、生息域も広範におよび、かつアジア地域での伝統的食文化と密接に関係している生物が多いという傾向をあきらかにした。生息域が広範であることは、国際取引を規制するCITESの関与を正当化するものである一方、そうした生物資源のなかには(輸出ではなく)地域的に消費されてきたものも含まれており、附属書IIへの掲載が地域社会にあたえる影響を注視していく必要性を指摘した。研究分担者の落合は、インドネシア共和国南スラウェシ州ランテパオ市インドネシア、スラウェシ州で、研究成果還元としての展覧会実践Sanggar Penelitian Sirope(ジュズダマ研究スタジオ)をおこない、地元メディアにも注目をあびた。研究分担者の岩井は、タンザニア、セレンゲティ国立公園に隣接する村落において、国立公園から出てくるアフリカゾウによる農作物被害について継続して調査した。また、CITESのタンザニア代表と象牙輸出について意見交換をおこなった。分担者の長津は、インドネシア東部のマルク州アル諸島、東南スラウェシ州ワンギワンギ島、東ジャワ州カンゲアン諸島において、サマ人、ブギス人、ブトン人などの海民による稀少海産資源利用、同海産資源利用への国際環境NGOによる干渉、ならびにそれらの歴史的変遷に関するフィールドワークを継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東北大震災の影響もあり、当初計画していたフィールドワークが、夏期休暇中に予定どおり実施できないこともあったが、期間の短縮や実施日を変更したりするなどして、おおむね順調に遂行することができた。とくに研究分担者の落合は、ハサヌディン大学のアグネス氏とインドネシアのトラジャ地域でジュズダマをもちいた民具の展覧会を実施し、生態資源利用と管理の当事者である地域住民に成果還元をおこない、現地のメディアにも注目されたことは、特筆しておきたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成24年度は、7月に全体を総括する会合を開催し、成果のとりまとめについてのうち合わせを実施する。同時に、次の研究課題が明確となるようなフィールドワークを各自、おこなうものとする。研究分担者の落合は、平成23年度にインドネシアで開催した展覧会の企画・運営に関する報告書を作成する。
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