研究課題/領域番号 |
22310161
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
木本 喜美子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50127651)
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研究分担者 |
千葉 悦子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (30217244)
高橋 準 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70272094)
宮下 さおり 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (30447586)
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 准教授 (70404358)
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キーワード | 女性労働 / 女性労働史 / 近代家族 / 階級・階層 |
研究概要 |
平成22年度における既存研究の到達点、方法および分析枠組みを検討するための研究会の積み重ねを継承して平成23年度は、具体的な調査地域の選定、予備調査および本調査を実施した。またイギリスにおける女性労働史の専門家にレビューを受ける機会を得た。 (1)平成22年度の研究会の成果を統合し、<女性労働と家族>の史的再構成についての仮説を修正・補強する研究会をさらに重ね、仮説の精緻化をはかった。 (2)調査地点を、さまざまな指標から検討し、現業職女性を擁する産業として製造業、なかでもとりわけ織物業を選んだ。織物業を擁する地域類型を多面的に検討するなかから、その代表的な地域として福井県勝山市を選定した。戦前期からの織物業の蓄積があつい上に、少なくとも戦後期を見る限り、織物業の技術革新において代表性をもっているからである。さらに福井県で開発された織物業向けの機械が、全国の他地域をリードしている点に注目した結果でもある。 (3)当該地域に予備調査にはいり、工場見学、資料館の聞き取り等を行い、織物業の元女工への聞き取り調査を2ケース、試行的に行った。この地域の資料収集をさらに進め、本調査へのルート開拓をはかった。 (4)有力なってを得て、元女工、および元男工、大手および小規模の織物業経営者への聞き取りを行うことができた。平成24年度の本調査に向けて、さらなるルートの開拓の見通しをつけた。 (5)本研究と共通する課題意識をもつ海外の研究動向についても検討を加える作業をとりおこない、海外の優れた研究者のレビューを受ける機会をもった。英国・エセックス大学のミリアム・グラックスマン教授から、貴重なコメントをいただくことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初は、調査地の選定と予備調査までを念頭においていたが、関係者へのアクセスが予想以上によく、有力なルートが得られたため、年度末には本調査に入ることが可能となった。引き続き平成24年度、本調査を実施するが、調査対象者の紹介をうける強力なってがすでに得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の経過を踏まえて基本的には、その延長線上で、織物業元女工、および機業経営者およびその家族従業者等を中心的な調査対象者とするインタビュー調査を推進する。しかし相対的高学歴女性層との接点がいまだ浮かび挙げられていない点が課題として残されている。平成24年度に学校関係者へのインタビューを進める中から、その接点を探求したいと考える。織物業と高校設立との関係が深いという事実を掴むことができているので、この点にさらに網をかけて関係者に聞き取りをしていけば、おのずと接点を見つけることが可能となると考えられる。平成25年度は最終年度でもあり、平成24年度の調査結果にもとづいてまとめのための研究会を開催し、分析方向を検討するとともに欠けている調査資料を確認する。それを踏まえて夏の時期を中心に最後の実態調査にはいるものとする。その後は、各々の分担分野についての発表のための研究会を開催する予定である。どうしても補足調査の必要が生じた場合は柔軟に考えたい。
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