研究課題/領域番号 |
22320002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鬼頭 秀一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40169892)
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研究分担者 |
桝潟 淑子 淑徳大学, 総合福祉研究科・コミュニティ政策学部, 教授 (00255150)
日鷹 一雅 愛媛大学, 農学部, 准教授 (00222240)
丸山 康司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20316334)
富田 涼都 静岡大学, 農学部, 助教 (20568274)
桐原 健真 東北大学, 文学研究科, 助教 (70396414)
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キーワード | 有機農業 / マイナーサブシンスンス / 福島第一原発事故 / 放射性物質汚染 / 低線量被曝 / 環境倫理 / 大地の倫理 / 未来世代への倫理 |
研究概要 |
「農」の哲学の構築の前提として、農業と生態系の関係について、より本質的な点から考察を深めるために、その先駆者であるステファン・グリース教授を訪問し、そこにおける農業と生態系の現場を調査することが必要となったとして、海外渡航用の旅費として研究費を繰り越した。しかし、今年の3月11日の東日本大震災と津波の災害に伴う形で起こった福島第一原発事故を原因とする放射性物質の汚染は、福島県の農業地域や阿武隈山系の山林や中山間地区を中心に、「農」の基本である地に足を付けて生きることの営みそのものを破壊し、「農」というものを根本的に問いなおさざるを得ない状況に至っている。その「農」の被害は、狭い意味での産業としての「農」に留まらず、マイナーサブシンスンスも含めた生活全般に至っている。まさに「農」ということが何であるのかということを逆照射することともなった。そのこともあり、海外渡航を取り止めて、集中的に福島における「農」の被害について調査して、「農」の哲学の本質に迫ることとした。福島県立博物館の民俗学の研究者を研究協力者に加え、原発被害に伴う避難者調査のため、新たな研究メンバーを加えて研究の陣営を新たな状況の中で強化した。調査の範囲は、二本松市東和町を中心に、福島周辺の有機農家、阿武隈山系でのマイナーサブシンスンスなどの人の営み、放射能汚染以後の消費者との関係などに及び、にわかに脚光を浴びている野菜工場の今後の展開もその調査の射程に入っている。四つのグループに分かれて集中的、かつ継続的な調査を行っている。その調査の成果は、5月に行った3.11を問う環境倫理の研究集会(100名以上集まりインターネット配信も行った)や関連の諸学会、日本学術会議等でのシンポジウム等々で精力的に報告し、『研究成果報告』や『ニュースレター』も定期的に刊行して、積極的に発信していくこととなった。
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