研究課題/領域番号 |
22320004
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森下 直貴 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70200409)
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研究分担者 |
粟屋 剛 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20151194)
霜田 求 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90243138)
松田 純 静岡大学, 人文学部, 教授 (30125679)
虫明 茂 就実大学, 人文学部, 教授 (60412235)
村岡 潔 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (10309081)
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キーワード | デジタル化 / サイボーグ化 / ロボティクス / サイバー環境 / 倫理フレーム / 歴史哲学 / 物質/生命 / 身体/脳/心/意識 |
研究概要 |
本研究会で念頭におかれている先端科学技術の「総合的な倫理的枠組み」は、たんなるリスク計算とか規制または調整といったものではなく、存在論や文化論の根本にまで踏み込んだ未来志向の本格的なものの見方である。本年度は初年度であることから、先端科学技術の全体を勉強・概観しながら視点と方法について議論を重ねた。そして分担された役割に沿って、分担者それぞれが連携しつつ独力で研究に取り組むことにした。 まず、研究の焦点を「デジタル化」(事物の微分=合成化の徹底的な進行)に合わせた。そのため研究範囲は、物質・生命・身体・脳・心・意識から環境(自然、社会、文化)まで広がることになった。具体的には、エンハンスメントやニューロサイエンスの「サイボーグ化」、「ロボット」、「サイバー環境」、「アーキテクチャ」を総合的に考察することにした。この総合性は本研究会の特徴の一つである。 次に、人間/環境や自然/文化や個人/社会の在り様が「デジタル化」を通じて今後どのように変容していくのか、という「歴史哲学の視点」を導入した。それと同時に、既存の倫理フレーム(倫理学理論と価値理念)を表層から深層へと掘り下げることで、規範的な分割線=境界線を存在の根本から捉え直す「垂直的な視点」をも導入した。これらも本研究会の他に類例を見ない特徴である。 以上をふまえて、「滞ることなく流れる循環」という存在観を仮設的に提示し、これをめぐって議論をした。物質の循環から、生命構成素の循環、イマージュの循環、意味の循環、そしてサイバー循環まで、すべての循環が滞りなく流れるかぎり、そこに固定しないゆるやかな分割線が浮かび上がる。その上で、生命・身体・脳・心・意識の連関(分割)を捉えるために、「差異から立ち上がる高次中心化」という論理を提示し、これをめぐっても議論を重ねた。これらの発想は次年度の各自の研究のなかで深められる予定である。
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