研究課題
最終年となる平成24年度は、昨年までに枠組みを完成した「「型」で横断する絵巻情報検索システム」の充実をはかるために、作品情報の入力に努めた。入力と検索のための「型」名称、キーワード一覧を整えた。絵巻の画面を構成する「型」は、画中の主要人物の行為に着目する「行為の型」と、建築や描かれた場の性格に着目する「空間・環境の型」の二種である。いずれも、絵巻の絵一段中から抽出された一定の範囲に対応する。また「型」と併せ、「型」を構成し特徴付けるモチーフ(「キーワード」)を選択し、AND検索、またはOR検索することで、(身分や性別に応じた)人の行為と空間・環境(場)との関係、人と人、人と動植物、人と「もの」との関係等を複数の絵巻作品中の場面から横断的に析出し、分析することが可能となる。本年度は、ほぼ毎月の研究会を開催し、上記の検索システムの発想と利用成果を生かした事例研究を重ね、2013年1月12日には「絵巻研究の新視点 ―描かれた人の営み・環境に着目して」と題した公開シンポジウムを開催した。本科研の分担・協力者5名が、各自の事例研究に基づき報告をおこない、歴史・文学・美術史の各分野から招いた4名のコメントを得た。絵巻の豊かな情報へのアクセス、またそれらの情報に基づく領域横断的な研究、およびその成果を生かした教育・普及の可能性について、会場の参加者からも意見を得て、討議を深めることができた。その結果、本検索システムは研究目的の利用に加え、学生、および一般の絵巻・美術愛好者が、新たな視点から絵巻を見て、人の営みとそれが生起する空間がどのように変化したのかを、楽しみながら歴史的に検証する機会を創出するものとして有効であるとの確信を得た。本科研の成果公開を目的とした出版の準備を進めている(平成26年度中に公刊予定)。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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空間と表象(千葉大学大学院人文社会科学研究科 研究プロジェクト報告書)
巻: 259 ページ: 192~203頁
巡礼記研究
巻: 9 ページ: 未定
巻: 259 ページ: 101~113頁
日本建築学会大会学術講演梗概集(東海)
巻: F-2 ページ: 837~838
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