研究課題/領域番号 |
22320030
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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研究分担者 |
浅野 和生 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80167890)
菅原 裕文 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (40537875)
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キーワード | ビザンティン美術 / アルバニア / マケドニア共和国 / 初期キリスト教美術 / キリスト教図像学 / 西洋美術 / 西洋中世美術 / キリスト教考古学 |
研究概要 |
8~9月にマケドニア共和国とギリシアの現地調査を行なった。拠点をオフリド、スコピエ、プリレプ、ストゥルミツァとし、周辺の聖堂・修道院を調査、撮影した。オプリド・イコン・ギャラリーの学芸員の全面的な協力を得て、同行通訳を引き受けてもらうことができた。 図像学的にはキリストのフィジオノミーに関する多くのデータを得た。オフリド周辺の後期聖堂には、パントクラトール・インマヌエル・日の老いたる者・祭司キリスト・天使キリスト・空の御座といった一連のメダイヨンが装飾の要をなす例が多い。これはカストリアの聖ステファノスやネレヅィの聖パンテレイモンといった周辺からの影響と考えることができよう。 様式比較の結果、ネレヅィの聖パンテレイモンの画家の一部が、カストリアの聖ニコラオス・トゥ・カスニヅィばかりでなく、ヴェリュサのエレウーサ、マナスティールの聖ニコラにも参加していることが確認された。 装飾プログラム研究の面からは、単廊式バシリカ(クルビノヴォ、プリレプの聖ニコラ)、ギリシア十字式(オフリドのパナギア・ペリフレプトス、スタロ・ナゴリチャネの聖ギョルギ)それぞれの代表的な作例を記録した。バルカン半島一帯の美術制作は、ローカルな枠の中で考えるべきなのか、首都からの影響を考慮すべきなのか、今後の課題としたい。 ギリシアのテサロニキも調査の対象としたが、現地諸機関が混乱しており、当面調査の対象とすることは危険であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルバニア、マケドニアでは、ほぼ希望通りに調査・撮影許可を敢得することができ、写真データの整理も進んでいる。参加メンバーもそれぞれ論文によって成果を問いつつある現状である。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は可能であればコソヴォを調査対象としたいが、現時点で外務省の情報によれば、渡航をすることは困難である。その場合セルビアを調査対象として、研究計画を遂行したい。コソヴォの体系的な調査は、日本隊としては初めてであり、大きな意義を有するが,調査地をセルビアとする可能性は当初から考えられており、計画の遂行には支障はない。
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