研究課題
風景は、環境破壊という危機に瀕した外的自然が現れる場として、今や従来の伝統的な枠組みを超えた新たな論究の中心に置かれることが求められている。本研究はこの意図の下に、自然と都市の風景をテーマにした芸術作品の分析を行い、根底にあるそれぞれの自然概念の析出を試みた。その析出に当たっては、芸術内の問題にとどまらず、芸術家が対峙したそれぞれの時代の自然意識を社会的・文化的背景、およびアイデンティティ問題から解明することに重点を置いた。そうして得られた文化的差異の認識に基づき、グローバル化した自然問題とかかわる新たな風景論を模索した。国際交流の研究発表の場として、国際シンポジウム「21世紀の風景表象─風景の構築と自然の認識」、国際フォーラム「風景の美学:伝統と近代」を開催し、最終年度の2013年には国際カンファレンス「風景のアヴァンギャルド、風景のポストモダン」を催し、新しい動向を見出した美術作品を注視しつつ、来るべき時代の風景について議論した。当研究の4年にわたる研究成果の総括として、『自然の知覚─風景の構築。グローバル・パースペクティヴ(Perception of Nature─Construction of Landscape. Global Perspectives』(仲間裕子、ハンス・ディッケル編、三元社、2014年3月)を日英のバイリンガルで出版した。本著書は第一部「風景の思想」、第二部「風景のアイデンティティ」、第三部「風景のモダン、ポストモダン」で構成され、編集者に加えて、8カ国の研究者(岡部由紀子、米村典子、加藤磨珠枝、要真理子、前田茂、ゲイル・レヴィン、クリスティーナ・ヴィルコシェフスカ、ラファエレ・ミラーニ、リュウ・チェングジ、ジャレ・エルツェン、アダ・ラエフ、パン・ファン)が寄稿している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (9件)
Journal of Zhengzhou University
巻: 42巻2号 ページ: 94-97
The Challenge of the Object, 33rd Congress of the International Committee of the History of Art, Nuremberg, 2012, Congress Proceedings
巻: 3巻 ページ: 928-930
巻: 4巻 ページ: 1287-1290