研究課題/領域番号 |
22320032
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
岡田 健 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 国際情報研究室長 (40194352)
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研究分担者 |
鉾井 修一 京都大学, 工学(系)研究科, 教授 (80111938)
小椋 大輔 京都大学, 工学(系)研究科, 准教授 (60283868)
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40376934)
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キーワード | 敦煌 / 壁画 / 色彩 / 劣化メカニズム / 環境 / 化学変化 / 解析 / 復原 |
研究概要 |
平成22年度は、これまでに蓄積してきた敦煌莫高窟第285窟の壁画に関する劣化状態と色料に関する調査データを整理するとともに、劣化を生み出した環境要素のシミュレーション研究と、この研究に位置情報としての根拠を与えるGISを利用したデータベース構築のための作業を行った。具体的には、莫高窟第285窟を対象として、地盤内水分移動量、壁体表面の水分蒸発量を求め、壁表面への塩の析出量を見積もることを目的として、熱水分同時移動方程式による数値シミュレーションを行った。その結果、主室、前室ともに窟内へ流出する水分流量があることから、塩の析出があり、特に前室で析出量が多いことが分かった。また、莫高窟周辺における結露発生の可能性調査、土壌の水分移動特性の測定を行った。データベース構築の作業としては、システムの構築と、データ実装のための膨大な量のデータ整理作業とを実施した。システム構築としては、劣化に関連する理化学的・光学的調査データの統合的アーカイブを可能とするシステム(GISbasedDataArchiveSystem:GISDAS)の開発と実装、並びに、別途開発したデータ入力インターフェイス(PhotoXmlEditer:PXE)モジュールとの連携システムを構築した。PXEで記録・編集された画像とそのメタデータをGISDASに転送し、GISDASで各種の解析・検索が実施できるようになった。次年度以降、これらのアプリケーションを基盤に各種時空間解析を実施する予定である。なお、GISDASについては、2010年度文化財科学会研究発表大会にてポスター賞を受賞した。画像全体の色彩表現の復原に向けて、8月14日から9月4日の日程で実施した、日中共同調査に参加し、第285窟南壁及び東壁の主題に関する確認調査を実施した。
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