研究課題/領域番号 |
22320034
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
橋本 久美子 東京芸術大学, 総合芸術アーカイブセンター, 特任助教 (70401495)
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研究分担者 |
佐藤 道信 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30154074)
大角 欣矢 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (90233113)
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キーワード | 芸術・文化政策 / 日本近代音楽史 / 日本近代美術史 / 芸術(音楽・美術)教育 / 東京音楽学校 / 東京美術学校 / 東京美術学校製作 / 東京音楽学校作曲 |
研究概要 |
◎明治から昭和にかけて東京音楽学校および東京美術学校が行った受託作(作曲・製作)について学内文書の解析、追跡調査、現地調査を行った。また音楽と美術の共同中間報告兼成果発表のため、平成24年度初めに大学美術館における展覧会「藝大コレクション展」(会期:平成24年4月5日~6月24日)のなかで特集陳列「藝大創成期と依嘱事業」展を行うことができた。 【音楽側】原資料の再調査および依嘱作曲の追跡調査の結果、現在も使用される校歌、ホームページに音源が紹介される校歌、歌詞が変更されている校歌等が確認された。原資料のスキャニングを一通り終え、今後はデータ整理と見直しを行う。9月の文化祭(藝祭2012)では大学史料室にて依嘱作曲の資料を展示し、調査結果を展示した。また美術館で音源を紹介するため、本学千住キャンパスにおいて声楽科学生有志により7曲を復元演奏(<内地の歌(朝鮮総督府依頼)><我等は太陽民族>他)し収録した。有料展示での音源紹介として、著作権および著作隣接権の手続きを行った。展示では、文書綴、依嘱の往復文書、楽譜、歌詞等の原資料とともに、モニター画面による依嘱作曲の概要紹介、iPadによる原資料画像と音源紹介(ヘッドホン使用)を行った。あわせて音楽取調掛と東京音楽学校時代の資料(国産第一号オルガン、小学唱歌集と版木、唱歌掛図等)を展示している。 【美術側】下記三箇所に出張し、東京美術学校による委嘱製作品の現地調査と写真撮影、関連資料の収集を行った。1.檜尾山観心寺、2.天野山金剛寺、3.守口市近代南画美術館。展示では明治期の委嘱製作品(観音像木型、親音立像、綵観[サイカン])、依嘱製作関係文書綴等を初期東京美術学校の資料(明治26年卒業証書、東京美術学校・東京音楽学校徽章標本や西郷隆盛銅像等の写真パネルを展示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.東京音楽学校の受託作に関する追跡調査は、平成23年度までに調査対象全体の約五分の一にとどまり、調査完遂にはなお時間を要する。しかし現用の受託作の存在が確認されたほか、楽譜の原資料に基づき本学学生が復元演奏を行うなど、原資料の掘り起こしと演奏とが結びつき、アーカイブ化が実現した。2.東京美術学校の受託作に関しては檜尾山観心寺(河内長野市)、天野山金剛寺(同市)、守口市近代南画美術館(大阪府守口市)、久能山東照宮(静岡市)等現地調査を行い、現状確認と資料収集し、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.音楽、美術の両分野における受託作の異同、両者が日本近代においてどのような役割を担ったかについて研究と検討を行い、まとめる。これに先立ち下記2および3の研究を行う。 2.音楽:(1)現用の受託作が何曲ほどあるか、引き続き調査。(2)現用のものについては歌詞や音に変更が加えられていないか等、インターネット及び依頼校への照会による追跡調査。(3)依頼校が保有する資料の調査。(4)追跡調査の結果について検討。(5)本学所蔵資料の読み取り、再調査。 3.美術:(1)引き続き現地調査による資料収集を行う。(2)収集した資料の統合により、東京美術学校の依嘱製作史概要をまとめる。
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