研究課題
昨年度は一方において、金沢美術工芸大学所蔵品の基礎調査、即ち公開に向けた基礎データの確認と点検、撮影を進めた。同時に、研究分担者が金沢美術工芸大学と京都工芸繊維大学とで会議を開催し、それぞれの施設における資料の保存情況や調査情況について共通認識をもち、日本の研究機関、博物館の資料保存と整理の現状を踏まえてデータベース構築に向けての問題点や課題について議論を深めた。ここから本研究が目指すべきデータベースの手法や範囲、目標について展望を得ることができた。また、こうした目標具現のための情報収集、予備的交渉を次の通り進めた。・アートドキュメンテーション学会総会:ここでの研究発表を聞くことで、現実に行われている美術資料公開の手法のあり方や問題点、関連領域における関心、動向を把握できた。・公開資料保存機関との事前折衝:(1)東京都市大学:図書館所蔵の蔵田周忠文庫の公開への協力を依頼し、基本的な了解を得た。(2)産業技術研究所中部センター:同研究所瀬戸サイト(陶磁器試験場の後身)所蔵の雑誌の公開を依頼し、基本的合意を得た。公開する意義のある資料を確認、選定した。(3)金沢21世紀美術館:同館所蔵の粟津潔コレクションの公開への協力を要請し、合意を得た。・金沢美術工芸大学所蔵資料:本研究の対象資料として(1)北出コレクション(内外陶磁器)、(2)阿部家資料(陶磁器)、(3)水野家資料(金工)とし、これらの公開に向けて画像、基本データなどの点検、整備を進めた。これらの作業を通じ、共同研究者が共通認識を持ち、本年度データベース作成の着手に向けて具体的な条件や到達目標を明らかにすることができた。