研究課題/領域番号 |
22320043
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
目野 由希 国士舘大学, 体育学部, 講師 (20338289)
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キーワード | 戦前期日本ペン倶楽部 / インドペンクラブ / 日印交流 / 文化政策 / 国際連盟 / コモンウェルス / 言語政策 / 神智学協会 |
研究概要 |
(1)新資料発見1。加藤哲郎の2010年度出張調査資料中に、中島健蔵の戦時下の対外文化活動がわかるものがあった。中島の戦時中の行動、特にペン倶楽部に関する行動については、これまで記録が存在しないとされてきた。実際には、彼は外務省・KBSと協力しあい、日本の対外文化発信活動に従事していたことが分かった上、日本の対外文化政策の原型が判明し、とても重要である。 (2)新資料発見2。2010年度から引き続き、目野由希はテキサス大学ハリー・ランソンセンターおよびロンドンへの出張を行った。これにより、2011年度にも重要な戦前期ペンロンドン本部資料および日本ペン関係資料が発見された。広範囲の文化史・政治史などに再考を促し、貴重な史料である。しかも同センターは、2011年夏までで、ペンクラブコレクションの公開を一時打ち切り、向こう数年間は非公開とした。そのため、世界的に貴重なこのコレクションを、画像データにして所持している研究者グループは、現時点ではわれわれしかいない。 (3)共同研究の国際的展開。2010年度および2011年度の資料収集活動、また高度な内容の研究会開催の結果、本共同研究会は、世界的に貴重な資料を所持し、かつ高度な議論を行うグループとなった。そのため、当初計画を変更し、コロンビア大学(米国)のGauri Viswanathan教授、ロンドン大学(英国)のMichel Hockx教授他、海外の優秀な人文科学系の研究者らと共同で研究を進める次第となった。2012年1月から3月にかけては、彼らと研究相談を行った。 (4)国際共同研究会の試験的開催。(3)を受け、本来は2012年度になってから行う予定だった国際共同研究を、2012年2月、東京都内でスカイプを用いて試験的に行った。参加者は、梶原景昭教授、Brij Mohan Tankha教授、Gauri Viswanathan教授、目野由希、補助学生3名。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、われわれは2010年度と2011年度に資料収集を行い、最終年度の2012年度には、まずデリーで、日本人研究者とデリー大学の日本研究科を交えたシンポジウムを行い、次に東京で研究会を行う予定であった。ところが2010年度と2011年度の資料調査出張の結果、われわれは、予想以上の成果をあげることができた。そのため、本共同研究会は2011年度後半以降、デリー大学(インド)だけではなく、コロンビア大学(米国)教授、ポートランド大学(米国)教授、ロンドン大学SOAS(英国)教授らと連携して、国際共同研究を進展させてゆく運びとなった。さらにわれわれは、2013年以降もメンバー同士、連携して国際共同研究を行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、当初計画のように、3年間の共同研究の最終年度として、デリー大学教授と共同で研究のまとめ作業を行うと同時に、デリーおよび東京での研究会開催の手配をすすめていく。さらに、コロンビア大学やロンドン大学などとも連携して、共同作業のかたちで資料検討・調査を行う。そして、2013年以降の国際共同研究継続のため、その打ち合わせも行う。これまで、資料収集と研究会開催・研究相談を繰り返してきたため、研究成果がほとんど活字化されていないのが問題点といえば問題点ではあるが、これは研究計画書の通りである。2012年度からは、研究成果の発表も増やしてゆく。
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