研究課題/領域番号 |
22320046
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大森 康宏 立命館大学, 映像学部, 教授 (00111089)
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研究分担者 |
北野 圭介 立命館大学, 映像学部, 教授 (60303096)
望月 茂徳 立命館大学, 映像学部, 准教授 (00454504)
古川 耕平 立命館大学, 映像学部, 准教授 (90425025)
鈴木 岳海 立命館大学, 映像学部, 准教授 (20454506)
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キーワード | 科学映像 / 科学教育 |
研究概要 |
科学者共同体の枠内を超えたより広い層へ向けた科学映像の受容モデルの構築を目的として、研究実施計画に従い、以下の内容を実施した。 大森は、科学映像の中でも文化人類学的視点からの映像を分析するため、イタリア・フィレンツェ、フランス・パリの民族学・人類学関係の映画祭における映像資料を活用した物づくりのアートとその文化について研究した。 北野は、今年度の文献および実地調査を通して、前年度におけるデジタル映像による可視性への批判的接近という問題設定をさらに深めた。第一に、先鋭的な映像作品にはマルティモーダルな経験構造が認められるということ、第二に他方、マルティモーダルな経験構造はデジタル技術以前の視覚芸術にも観られるということ、である。 望月は、2010年度に引き続き、デジタル映像表現に関する技術と技法の調査を行い、ハンガリーにてMagyar Telekom社が出資するメディアラボKitchen Budapestおいてヨーロッパにおけるデジタル映像の研究開発状況の聞き取りをし、実際に共同開発、展示(HEBBEL AM UFER、ベルリン、ドイツおよびMerlin Theatre、ブダペスト、ハンガリー)を行った。 鈴木は、映像アーカイブにおける問題同定を目的として、ネパール・カトマンズにおける婚姻儀礼を撮影記録の実践から、無形文化財の映像アーカイブ記録制作において、調査対象と共同記録することとの必要性を明らかにした。また、京都市内の無形文化財である剣鉾祭りの記録と映像アーカイブ化の試みにおいて、無形文化財の映像アーカイブが、CGによる復元映像の制作に活用できることを提示した。 古川は、前年度に引き続き、文化財における教育的な3Dデジタルコンテンツに関する調査・制作をおこない、香川県琴平町教育委員会との連携を密に取りながら、地域社会への還元の一例として特に地元の小学校・中学校をコンテンツの対象とするための現地調査をおこなった。 以上、科学映像展示の具体的な実地の調査と実践によって、考察の論文化、システム構築、展示・地域還元などの活動を行いえたことは、本研究の目的に照らし重要な意義があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は研究目的に沿った形で、各メンバーがそれぞれのテーマに基づき現地調査を中心に研究を進めてきた。大森は現地調査が一部不十分であるが、北野は現地における聞き取り調査が予定通りおこなえており、望月は現場に赴きながら日欧の比較をおこなうことができている。また鈴木はネパールでの調査が順調であり、古川と共同でアーカイブコンテンツの作成を進めることができた。古川は教育用コンテンツ作成のための調査とコンテンツ作成を進めている。一部、進捗が遅れている部分が見受けられるが、全体としておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、進捗が遅れている部分を中心に昨年度に引き続き研究を進めていく。具体的には以下のとおりである。 大森は文化、アートと社会関係を考察し、今後の総合的文化人類学を目指す。北野は、引き続きデジタル映像の可視性に関しての現地調査をおこない、望月は、デジタル映像環境について欧米だけでなくアジア圏との比較をおこなう。鈴木は特に無形文化財の映像アーカイブと、他領域との連携を深めることを目的とし、古川はデジタルアーカイブに関して鈴木との連携を深めつつ、琴平町との連携を深め教育コンテンツを地域還元するための準備を進めていく。
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