研究課題
本年度は、アメリカン・ルネッサンス作家(エマソン、ソロー、ホーソーン、メルヴィル、ポー、ストーら)の作品や伝記等に表れた大西洋を中心とした交易、交通、旅行、移動、情報の流れ、移民の動き等のイメージを捉え、作家たちのグローバルな想像力と同時代のアメリカ・ナショナリズムを対比する、という目標を立てた。この目標を達成するため、本研究グループでは、(1)月例会を開催する中、ホーソーンやポーの作品を精読し、新たな解釈のあり方を探求してきた。(2)8月18日~20日に夏季セミナーを開催し、年度末発行の論集に掲載する研究成果について検討した。このセミナーでは3人の特別講師(中野学而、斎木郁乃、橋本安央各氏)を招聘し、講演をお願いした。(3)ロンドンやローマ、フィレンツェ等に出張し、ホーソーンのヨーロッパ在住時の基本資料を収集した。(4)各研究者はそれぞれの担当分野について研究を行い、各研究誌、および、各学会の支部大会、全国大会で成果発表を行った。(5)以上の活動の成果をまとめた図書『環大西洋の想像力――越境するアメリカン・ルネサンス文学』(彩流社)を発行した。この図書には、メンバー全員の論文に加え、これまで夏期セミナーに招聘した西谷拓哉、飯野友幸、成田雅彦、高尾直知、阿部公彦、佐久間みかよ各氏の論文、さらに、平成23年に本研究においてオーストラリア・シドニーより招聘したポール・ジャイルズ氏の講演記録が収められている。本研究は文学研究の最前線であるトランスナショナル研究を、経済、交易、移民、旅行などより具体的な事象よって捉え直していくものであり、今後の文学研究の指標になるものと信じている。こうした研究手法は『環大西洋の想像力』に十分生かされており、そこにおいて本研究の目的は遂行できたと考える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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『英語英文学論叢』(九州大学英語英文学研究会)
巻: 62 ページ: 1-18
『フォーラム』(日本ナサニエル・ホーソーン協会)
巻: 17 ページ: 17-34
『Las Barcas』
巻: 2 ページ: 39-51
『ECCE 映像と批評』
巻: 3 ページ: 90-103
http://mstudio.kuas.kagoshima-u.ac.jp/moodle