研究課題/領域番号 |
22320063
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 広昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40210471)
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研究分担者 |
湯浅 博雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30130842)
星埜 守之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10238743)
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キーワード | 翻訳 / 文化横断性 / 共同体 / クレオール性 / 仏文学 |
研究概要 |
平成22年度の研究成果として、特筆すべきは、平成23年1月28日に東京大学駒場キャンパスにて開催した国際シンポジウム「同一者は他者か?-翻訳と文化横断性再考」であり、フランスから2名の研究者を招聘し、うち1名は、東アフリカの複数言語使用状況を背景として、ケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴの活動を翻訳の問題とからめて論じ、もう一名は、フランスにおけるアラビア語文学の翻訳状況を日本文学の翻訳状況との比較において、やはり歴史的社会的文脈に十分な検討を加えつつ論じた。本研究グループからは星埜が、自身が行ったカリブ海の作家シャモワゾーの小説作品の日本語訳を巡ってどのような問題が生じたかを報告した。これらの報告はそれぞれ冷戦終結後の世界におけるポスト・コロニアルな文化状況がもたらしている問題系や現象の解明に翻訳と文化横断性という視座から集中的に取り組むという研究課題に答えるものであり、当日の充実した討議と合わせて、多くの示唆が得られたと考える。山田は本シンポジウムの準備にあたるとともに、自身の研究課題である19世紀末のインターナショナリズム運動であるアナキズムと文学、芸術との関わりについて解明を進めるために、フランス国立図書館等で資料調査を行い、フェネオンやオクターヴ・ミルボーといった作家たちについていくつかの新しい資料を発掘した。これについては研究論文にまとめるべく準備中である。連携研究者の田尻は、南アフリカの作家クッツェーの研究を進めるのと平行して、アフリカを題材とした重要な作品を残したコンラッドの研究を行い、アメリカのコンラッド研究者を招いてセミナーを開催した。
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