研究課題/領域番号 |
22320065
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大宮 勘一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40233267)
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研究分担者 |
香田 芳樹 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20286917)
桑原 聡 新潟大学, 人文学部, 教授 (10168346)
フュルンケース ヨーゼフ 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (40306858)
粂川 麻里生 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (00317504)
平田 栄一朗 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (00286600)
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キーワード | 独文学 / 思想史 / 人間学 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究プロジェクトの2年目として、主に思想史的観点から各時代に特徴的な「人間」把握を考察し、議論の場を設けることに研究運営の重点を置いた。その際、単に各時代それぞれの人間観を羅列し、個別的に検討するだけではなく、共通する要素を抽出し、議論の主題とすることを試みた。それが「二重存在」としての人間把握である。古代から現代に至る「人間」は、「自然/文化」の対立が様々に変奏されて、複合的に構成された観念である。「獣性/神性」、「内在/超越」さらには「身体/精神」などはいずれのその表現型として考えることができる。この基本的認識を共有しつつ、本プロジェクトは、当初平成23年9月及び11月に、二度の国際シンポジウムの開催を計画していた。しかし、震災と原発事故の影響により、海外からの研究者招聘が困難となり、時期をずらし、ようやく24年1月に、ドイツら3名、米国から1名の研究者を招き、国際シンポジウム「二重存在としての人間」を、慶應義塾大学三田キャンパスにおいて開催するに至った。ローラント・ボルガルツ(ドイツ・ヴュルツブルク大学)、ドロテー・キミッヒ(同・チュービンゲン大学)、ロルフ・ギュンター・レンナー(同・フライブルク大学)及びスティーヴン・イェーガー(米国・イリノイ大学)の四氏に加え、プロジェクト側から大宮、フュルンケース、平田、川島、桑原がパネラーとして登壇し、多くの参加者聴衆に恵まれ、極めて活発な議論を行うことできた。また、関連企画として、イェーガー氏と香田を中心としたコロキアムを開催し、若手研究者多数の積極的参加を得て、成果をあげることができた。本シンポジウムの成果は論文主として刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災、原発事故の影響により、当初危ぶまれていた国際シンポジウムの開催が、時期をずらしながらも、当初見込んでいた海外の研究者を招聘でき、十分な意見交換を行えたため。また、研究分担者間の意見交換も活発に行えたため。さらに、当プロジェクトの趣旨に関心を持つ研究者、特に若手からの反響が広く得られ、さらなる研究への刺激たりえていると確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、最終年度として、各研究分担者個別の研究成果を仕上げることに重点を置き、論文集の刊行を視野に入れているが、近現代の人間学を考察するうえで不可欠な論点として「進化論」を主題とする国際シンポジウムを再度行うことを計画している。時期は24年11月を予定しており、これまでのところドイツ、フランスより各1名の参加内諾を得ている。
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