研究課題/領域番号 |
22320069
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
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研究分担者 |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 教授 (40210588)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 敦煌 / 唱導 / 変文 |
研究概要 |
本研究では、敦煌文献に残される8~10世紀の唱導資料について調査を行い、文献目録と翻刻資料集成を作成することを目的とする。 64000点とも言われる敦煌文献は、中国に残される数他多くの伝世文献とは異なり抄本が当時使用されたままの状態で見つかっている。そのような文献であればこそ、使用後に廃棄されてしまうような当時の実際の儀礼に用いられていた資料も数多く残されていたのである。こうした資料の中には変文や講経文などの資料もあり、すでに貴重な資料として学界で注目されている。しかし、その周辺資料と見られる梵唄、表白文、説話、儀式次第など、変文発生に関わる資料は未調査のまま数百点が残されているのである。本研究ではこうした研究をより踏み込んだものへと発展させるために、敦煌に残された資料に総合的な調査を実施して、資料集成の作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度にひきつづき、上海古籍出版社『敦煌トルファン文献集成』、中国国家図書館出版社『敦煌遺書』などの敦煌写本写真資料や翻刻資料中、新たに刊行されたものや広島大学が所蔵していないものについては継続的に収集した。とくに、本年度はIDPを中心として、研究者間への敦煌画像資料の電子資料の提供が多く、研究環境を充実させることができた。 さらに、収集した資料を用い、研究代表者、研究分担者によって説話、唱導関連とみられる資料を敦煌文献中から捜索し、目録を補正する作業が続けられた。目録作業の進捗状況により、海外の研究協力者らと連絡をとり、協議を進めることもできた。すでに各国研究者間で講唱文学作品として異論のない作品から順に翻刻作業を進めてきたが、新たな発見も多くみられた。電算化作業に関しては、同作業において長年の経験がある浙江大学古籍研究所張涌泉氏らに修正意見を求めることができた。 本年度は、図録、電子データを主として使用し、研究代表者、研究分担者は海外調査を行わなかったが、細部においては研究協力者に依頼して調査報告を求めることができた。 年度末にあたる3月16日、17日には研究代表者、研究分担者、研究協力者を中心に研究集会を開催し、進捗状況を確認し合い、意思の疎通を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度にひきつづき、上海古籍出版社『敦煌トルファン文献集成』、中国国家図書館出版社『敦煌遺書』などの敦煌写本写真資料や翻刻資料中、新たに刊行されたものや広島大学が所蔵していないものについては継続的に収集する。電子化が可能なものは、電子資料としていく。 収集した資料を用い、研究代表者、研究分担者によって説話、唱導関連とみられる資料を敦煌文献中から捜索し、目録を補正していく。目録作業の進捗状況により海外の研究協力者らと連絡をとり、協議を進めていく。すでに各国研究者間で講唱文学作品として異論のない作品から順に翻刻作業を進める。最終的な電算化作業に関しては、同作業において長年の経験がある浙江大学古籍研究所等に要請する。 必要に応じて実際に海外の敦煌資料所蔵施設におもむき、翻刻の確認作業と同時に、新資料の調査をおこなう。写真資料では判読の困難なもの、写本の状況がつかみにくいものなどを中心として、敦煌文献の所蔵先におもむき、関連文献を閲覧または写真撮影し、作成する翻刻資料の精度を高める。 年度末に研究代表者、分担者、研究協力者で集まり、進捗状況を確認し合い、意思の疎通を図る。
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