1.現地調査 代表者の津曲は8月ロシア連邦ユジノサハリンスク市を訪れ、現地研究者との打ち合わせとウイルタ語調査を行った。9月にはロシア・ハバロフスク市に分担者・呉人とともに赴き、呉人は同市に招いたコリャーク語話者からの文法調査等を実施、津曲は同市から沿海地方のウデヘ語話者居住地を訪ね、ウデヘ語のテキスト調査を行った。なお、この調査には別経費で研究協力者2名(ともに北海道大学院生)を帯同した。 2.研究打ち合わせと講演等 12月に津曲が分担者の所属する富山大学を訪れ、研究打ち合わせを行うとともに、市民向けの公開講演を行った。一方、呉人は国立国語研究所主催のフォーラムで専門の立場から講演した。他にも、本研究に関連してそれぞれ数件ずつ、一般向けおよび専門向けの口頭発表を行った。 3.研究成果の公開と論文集刊行 11月に本研究の専用サイトを立ち上げ、公開することで、本研究の目的の一つである研究者間のネットワーク構築の基盤とした。本研究経費による刊行として、津曲が以前から取り組んでいるウデへ語自伝テキストの続編1冊と、北方言語に関する論文集1冊を刊行した。このうち論文集『北方言語研究』は、広く北方言語研究者に呼びかけて投稿を募ったところ、13件の応募を得て、これを本研究が主体となって審査・編集のうえ創刊したものである。本研究の成果発表の場であると同時に、北方言語研究者のネットワークとして今後の定期的な刊行をめざしている。
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