研究課題/領域番号 |
22320076
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗林 均 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (30153381)
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研究分担者 |
斎藤 純男 東京学芸大学, 留学生センター, 教授 (10225740)
松川 節 大谷大学, 文学部, 教授 (60321064)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | モンゴル語 / モンゴル文字 / パスパ文字 / アラビア文字 / 保安語 / 中世モンゴル語 |
研究概要 |
本研究の目的は、13世紀と14世紀の時代に記録されたモンゴル文字、パスパ文字、アラビア文字、漢字等の文字で記録されたモンゴル語の文献資料に関する言語学的・文献学的研究の成果を集積し、それら表記の違いを越えて、統一的な言語実体としての「中世モンゴル語」の特徴を音韻・文法・語彙の各分野にわたって総合的に解明することである。 平成24年度には、各種文字文献資料の調査と、それらの校訂・入力・整理を中心に研究を行った。調査研究として、斎藤はベルリン州立図書館所蔵のモンゴル語語彙の写本調査を行うとともにその画像データを入手し、イスタンブル、オックスフォード、ローマの各写本と合わせて校訂作業を進めた。松川は、中国浙江省天台山から新たに発現したパスパ文字モンゴル語聖旨碑を解読・研究し、中国・北京市,モンゴル国ウランバートル市で開催された国際学会でそれぞれ報告発表した。 研究の成果として、上記国際学会における発表2件のほか、栗林による著書2点がある。著書のうち『「保安語詞彙」蒙古文語索引』(東北アジア研究センター、2012、148頁)は、モンゴル語系の「保安語」におけるモンゴル語と同源の語彙を集めたもので、保安語に保存されている中世モンゴル語の特徴を知る基礎資料となる。また『蒙文倒綱-資料編・原本影印-』(東北アジア研究センター、2012、590頁)は、19世紀中葉に編纂された字母順配列のモンゴル語・漢語・満洲語辞典の原本影印資料であり、中世モンゴル語から語彙の変遷をたどる上で、研究の基礎資料を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、中世モンゴル語資料の調査研究と、各種文字データの校訂・入力・整理、および研究のネットワーク化の3つの柱から成る。東日本大震災で研究代表者(栗林)の研究拠点が被害を受け、いまだ元の研究施設に戻ることができない状態が続いているが、調査研究、データの整理はおおむね順調に遂行されている。研究成果として学会研究発表2件、著書2点を公刊することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って、(1)中世モンゴル語資料の調査研究、(2)各種文字データの校訂・入力・整理、(3)研究のネットワーク化、を3つの主要な柱として研究を進めていく。 このうち、(2)の「各種文字データの校訂・入力・整理」は、これまでそれぞれの研究者が恒常的な作業として進めているが、それらを統合する段階に入る。 同時に、蒐集し、校訂・入力を進めている資料については、影印あるいは翻刻の資料集、訳注、研究として公刊する。 計画の変更や遂行上の大きな問題点は特にない。
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