研究概要 |
・ミャンマー連邦文化省考古学局刊行のOld Burmese Inscriptions, vol.1, vol.5とvol.2の未入力分,Newly found Inscriptions, 2005., Sagaing Htupayon Inscriptions, 2vols. 2009-2010.のうち先行文献と重複しない部分のビルマ語碑文テキストの,ローマ字転写による外注入力を行った.入力の過程で入力仕様中に指定した転写体系にない変則的ビルマ文字表記の存在が明らかになった時には,その転写のしかたを定め転写体系を修正した.結果として,転写体系が対応できる範囲は西暦12-17世紀のビルマ文字の正則および変則表記にまで広がった. ・入力されたビルマ語碑文テキストのうち西暦12-13世紀(バガン王朝期)のテキストの校正を行なった. ・中期モン語碑文の代表例とも言うべきKalyanisima碑文(Epigraphia Birmanica, vol.III, pt.II, 1928.)のローマ字化転写されたモン語碑文テキストを外注入力した. ・岡野(研究分担者)が2011年12月にバガンのミンピャーグー仏塔とローカテイッパン寺院およびマンダレーの旧王宮碑文庫でビルマ語碑文の調査を,藪(連携研究者)が2011年11月にカチン州の州都ミッチーナーでビルマ語群に属するアチャン語とツァイワ語の語彙・文法調査を,加藤.(連携研究者)が2012年3月にヤンゴンで隣接少数民族言語であるポー=カレン語の語彙・文法調査を,それぞれ行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テキスト入力に関しては当該年度の予定より多くの碑文の入力を行い,それに合わせた転写体系の拡張も行った.碑文ビルマ語データの現存状況の調査も,同系・隣接少数民族言語の調査による言語データの蓄積も進行している.校正に関しては入力データ量が予定より増えた分やや進行が遅れているが,全般的に見るとおおむね所期の目標を達成していると言ってよい.
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今後の研究の推進方策 |
研究のベースとなる碑文コンコーダンスの作成に向けて現有のビルマ語碑文データの校正を進めていくことが,直近の課題である.今後のデータ入力はモン語テキストに重点を移していくことになるが,碑文調査によって新しいビルマ語テキストの存在が明らかになった場合には,それをデータに加えることも視野に入れる.合わせて,ビルマ語および周辺少数民族言語のデータのなお一層の蓄積にも努める。
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