• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

碑文コーパスによるビルマ語および周辺少数民族言語の通時的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22320077
研究機関東京外国語大学

研究代表者

澤田 英夫  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (60282779)

研究分担者 岡野 賢二  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワードビルマ語 / 碑文 / コーパス / 少数民族言語 / 通時的研究 / 歴史言語学 / 比較言語学 / モン=ビルマ文字
研究概要

1. 『モン碑文集成』(1965)およびEpigraphia Birmanica Vol.1,3,4 (1920,1923,1934)に収められたモン語碑文、教育省ビルマ語委員会編『文献辞典(バガン期・ピンヤ期)』(2009)に収められたビルマ語墨文、『トゥーパーヨン碑文集』Vol.2 (2010)・『マンダレー王宮碑文集』Vol.2 (2011)に収められたビルマ語碑文未入力分のテキスト外注入力を行った。
2. 入力されたビルマ語碑文テキストのうちAD14c以降分の校正を行った。
3. バガン期(AD12-13c)ビルマ語碑文のコーパスをもとに、同一の音を表す綴字変異{-uiw'~-iw'~-uw'~-eiw'}の歴史的分布を調べた。また、格標識であった{saN~'}が時代を経るに従って名詞節標識の、さらに文標識の機能を獲得する通時的過程を追跡した。
4. 2012年10月26~28日にシンガポールで開催された第45回国際シナ=チベット言語学会議で研究分担者岡野と研究代表者が共同で発表"Diachronic Consideration of Burmese“saN~'”"を行った。また、研究代表者が単独で発表"On the composition of Noun Phrases in Lhaovo"を行った。
5. 研究代表者が2012年12月-2013年1月にミャンマーに出張した。12月20-22日の間、バガン考古学ゾーン内のミンナントゥー村を重点的に調査し、寺院約40ケ所を訪れて未撮影の碑文約40面と墨文数点を撮影した。また12月23日-1月8日の間、カチン州の州都ミッチーナーで語りのテキスト(ロンウォー語8編、ラチッ語10編)を収集し、文法化した動詞列の調査(ロンウォー語)、母音長化が生起する文法的環境の調査(ラチッ語)、動植物語彙の収集(ロンウォー語・ラチッ語)を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点で入力可能なビルマ語碑文・墨文とモン語碑文のほとんどの入力と、その校正を完了した。入力のソースである書き起こしテキストの誤りをチェックするのに利用可能な碑文画像も、研究分担者岡野による一昨年度の調査、および研究代表者による昨年度の調査で新規に多数得ることができた。ビルマ語・モン語文献の言語形式に関して実証的な研究を行う土台は整ったと言ってよい。
碑文コーパスをもとにした綴字や文法形式についての研究も開始され、その一端を国際学会で発表することができた。少数民族言語に関しては、今年度までにビルマ語群に属するロンウォー(マル)、ラチッ(ラシ)、ツァイワ(アツィ)、ンゴーチャンの各言語と、ポー・カレン語について、研究代表者・連携研究者藪・加藤が調査を実施し、ビルマ語との間の系統的関係の詳細や、モン語・ビルマ語から言語接触によって受けた影響について現在研究が進行している。固有名の研究がやや遅れ気味であることを除けば、それ以外はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

1. 碑文コーパスをもとにしたビルマ語綴字および文法形式についての研究の成果を引き続き公表し、チベット=ビルマ系比較言語学において現代の文語ビルマ語形式をビルマ語の代表形として用いるという資料取り扱い上の不備や、モン文字の綴字法が初期のビルマ文字の綴字法に与えた影響を広く学界に認識させる。
2. 遅れ気味である固有名の研究、特に人名の研究の進行を急ぐ。
3. ビルマ語群のうちマル下位語群に属するロンウォー、ラチッ、ツァイワ、ンゴーチャンの少数民族言語のデータを突き合わせ、相互の、またビルマ語碑文形式をも含めた音韻対応を確定して、マル下位語群祖語再構への足がかりとする。
4. 上記の少数民族言語やポー・カレン語が、系統関係とは別にビルマ語など隣接する比較的有力な言語との接触によって受けた影響の研究を進展させる。
5. コーパスをもとにしたコンコーダンスの公開に向けて、データ精度や可読性の点での改善を図る。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Verb particles indicating 'up' and 'down' in Western Pwo Karen2013

    • 著者名/発表者名
      KATO, Atsuhiko
    • 雑誌名

      Tokyo University Linguistic Papers

      巻: 33 ページ: 99-117

  • [雑誌論文] ロンウォー語の文構造の概観2013

    • 著者名/発表者名
      澤田 英夫
    • 雑誌名

      澤田英夫(編) チベット=ビルマ系言語の文法現象2:述語と発話行為のタイプからみた文の下位分類

      巻: (巻号なし) ページ: 1-40

  • [雑誌論文] ビルマ語の文の下位分類について2013

    • 著者名/発表者名
      岡野 賢二
    • 雑誌名

      澤田英夫(編) チベット=ビルマ系言語の文法現象2:述語と発話行為のタイプからみた文の下位分類

      巻: (巻号なし) ページ: 41-80

  • [雑誌論文] ポー・カレン語の文の分類2013

    • 著者名/発表者名
      加藤 昌彦
    • 雑誌名

      澤田英夫(編) チベット=ビルマ系言語の文法現象2:述語と発話行為のタイプからみた文の下位分類

      巻: (巻号なし) ページ: 81-114

  • [雑誌論文] ビルマ語の動詞句2013

    • 著者名/発表者名
      岡野 賢二
    • 雑誌名

      東南アジア書言語研究会(編) 東南アジア大陸部諸言語の動詞句

      巻: (巻号なし) ページ: 243-293

  • [雑誌論文] ロンウォー語の動詞句2013

    • 著者名/発表者名
      澤田 英夫
    • 雑誌名

      東南アジア書言語研究会(編) 東南アジア大陸部諸言語の動詞句

      巻: (巻号なし) ページ: 294-362

  • [雑誌論文] Optional Marking of NPs with Core Case Functions P and A in Lhaovo2012

    • 著者名/発表者名
      SAWADA, Hideo
    • 雑誌名

      Linguistics of the Tibeto-Burman Area

      巻: 35 ページ: 15-34

    • 査読あり
  • [学会発表] On the composition of Noun Phrases in Lhaovo2012

    • 著者名/発表者名
      SAWADA, Hideo
    • 学会等名
      The 45th International Conference of Sino-Tibetan Languages and Linguistics
    • 発表場所
      Nanyang Technological University, Singapore
    • 年月日
      20121026-28
  • [学会発表] Diachronic Consideration of Burmese“saN~'”2012

    • 著者名/発表者名
      OKANO, Kenji
    • 学会等名
      The 45th International Conference of Sino-Tibetan Languages and Linguistics
    • 発表場所
      Nanyang Technological University, Singapore
    • 年月日
      20121026-20121028
  • [図書] チベット=ビルマ系言語の文法現象2:述語と発話行為のタイプからみた文の下位分類2013

    • 著者名/発表者名
      澤田 英夫(編)
    • 総ページ数
      iv+481pp.+付表17pp.
    • 出版者
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi