研究課題
■代表者および分担者(岡野)が2013年12月-2013年1月にミャンマーに出張し、バガン考古学ゾーン、ザガイン市およびピンヤ遺跡などで、ミャンマー文化省考古学局の協力を得て碑文の写真撮影を行った。また、連携研究者(加藤)が2013年9月にタイに出張し、ミャンマー国境に接するターク県メーソットでポー・カレン語の文法調査を行った。■モン文字とビルマ文字の関係を示す実質的証拠を探究した。本来は子音字でない母音字{a}に末子音字化記号を付加して声門閉鎖末子音を表す表記法は、インド系文字の中で碑文モン文字と碑文ビルマ文字にのみ見られ、このことは2つの文字の間に系統的つながりがあることを示唆する。代表者はこの点を2013年5月の東南アジア言語学会で発表した。また、12-13世紀ビルマ文字碑文に見られる不規則韻表記のあるものは、ビルマ文字草創期に11世紀モン文字碑文の韻表記が混入したものであることが碑文コーパスから明らかになった。代表者はこの点を同年8月の国際シナ=チベット言語学会議で発表した。■ビルマ文字が少数民族の文字に与えた影響の事例として、シャン文字に与えた影響を考察した。旧シャン文字では、開音節で表記し分けられる母音が閉音節においては表記上の区別を失う。このような母音記号の「中和」は、母音記号と末子音字の間に強い共起制限があるビルマ文字をもとにシャン文字が作られたことに由来すると考えられる。代表者はこの点を2014年2月にAA研で開催された文字に関する国際シンポジウムで発表した。■マル下位語群再構の一歩として、研究代表者が収集したロンウォー語・ラチッ語のデータ、連携研究者(藪)が収集したツァイワ語のデータとビルマ語碑文コーパスのデータを照合し、初頭子音・韻・声調の対応関係を検討した。■11-13世紀の碑文に現れる文字要素目録を作成した。碑文コーパスのオンライン公開に向けての作業はいまだ途上である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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田村克己・松田正彦(編著)『ミャンマーを知るための60章』(明石書店)
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