研究課題/領域番号 |
22320079
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
太田 斎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (40160494)
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研究分担者 |
武内 紹人 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10171612)
林 範彦 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40453146)
村上 雄太郎 茨城大学, 工学部, 教授 (50239505)
岩尾 一史 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (90566655)
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キーワード | 漢語 / 言語接触 / 歴史言語学 / 言語類型論 / 東アジア諸語 |
研究概要 |
太田は漢語の歴史的音韻論で見られる唇音声母字の扱い、特に開合について等韻学におけるその処理の仕方と音価の反映について分析を行った。またラマールとともに西北方言における音節の融合とその文法化現象について分析を行った。また太田は変調現象と避諱による改音現象との関わりについても分析を行った。 武内、岩尾は、大英図書館のSam van Schaikと共同し、所蔵スタインコレクション0.r8210中の古チベット語文書をカタログ化し、Catalogue of Tibetan Documents in Or.8210として出版した。 岩尾は、The 17th Himalayan Languages Symposiumにて"Reconsidering the Sino-Tibetan treaty inscription"と題してラサ現存のチベット語・漢語バイリンガル碑文(823年建立)の成立過程について口頭発表した。また、「古代チベット帝国支配下の敦煌における穀物倉会計:S.10647+Pelliot tibetain 1111の紹介」(『内陸アジア言語の研究』)を発表し、未解明の古チベット語経済用語の意味を定義した。 村上雄太郎は、2012年3月3日~11日の間、ベトナム・フエ外国語大学およびホーチミン国家大学で、中国語(漢語)等との接触によるベトナム語の変化や推移現象に関するデータを収集した。また、言語接触や言語類型の観点から、越日両語の認知的・発想的な特徴について考察し、研究成果としてフエ外国語大学日本語日本文化学科において「日本語の複合動詞"V+込む"の意味・用法-ベトナム語の"V+VAO"との対照」と題する講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、フィールド調査、文献収集によりデータの蓄積もかなりのところ達成され、それに基づく分析も各分担者によって着実に行われている。 今年度は、日本語とベトナム語の複合動詞で、後項動詞が「込む」など外側から内側への移動を表すものを対照し、その意味・用法の類似点及び相違点について考察したセミナーを開催した。昨年度の、日本語の「V+出す」とベトナム語の"V+RA"の文法化についてのセミナー開催と研究を積み重ねてきており、口本語とベトナム語の表現の中で大きな比重を占める移動動詞を含む複合動詞の認知類型論的な特徴の研究に一定の成果をあげたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度もこれまで同様にデータの蓄積を図るが、分析により大きな比重をかけていくことになる。 来年度も引き続き、複合動詞の研究を継続し、ベトナム語と日本語との、動詞からアスペクト形式への文法化の特徴と傾向を考察したいと考えている。そのために、複合動詞についての残された課題(例えば、「V+あげる」や「V+きる」など)の越日両語の対照分析を行なうとともに、越日両語の動詞の文法化をまとめていきたい。
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