研究課題/領域番号 |
22320079
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
太田 斎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (40160494)
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研究分担者 |
武内 紹人 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10171612)
林 範彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40453146)
村上 雄太郎 茨城大学, 工学部, 教授 (50239505)
岩尾 一史 神戸市外国語大学, 外国語学研究科, 研究員 (90566655)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 漢語 / 言語接触 / 歴史言語学 / 言語類型論 / 東アジア諸語 |
研究概要 |
太田は中古音をを概観して、問題点を洗い出し、そこに人工的字音の入り込む現象について分析した、また現代方言に関しては合音によって形態変化が生まれる現象について考察を行った。 武内は、10月に筑波大学で開かれた国際シンポジウムにおいて講演を行った。また、2013年2月に東洋文庫で開かれた国際シンポジウムにおいても講演を行った。煌文書などを対象とする文献研究によって、古代~中世チベット語の歴史を概観た。またブータンにおいてフィールドワークを行い、その記述をまとめた。 林は8月にラオス北部ルアンナムター県にてシダ語、ムジ語等チベット・ビルマ系言語の調査を、9月と3月に中国雲南省にてチノ語悠楽方言・ゲランホ・アカ語の調査を、2月にタイ王国バンコクと東北部ナコンパノム県で東南アジア諸言語の資料収集を行った。 岩尾は、チベット語、漢語のバイリンガル碑文(823年建立)の成立過程について論文を発表した(Iwao 2013a[2012])。また、チベット支配下の敦煌において、漢人がおこなったチベット文写経の状況について論文を発表した(Iwao 2012)。 村上は、2013年3月13日~23日の間、ベトナム・フエ外国語大学およびホーチミン国家大学において、中国語(漢語)等との接触によるベトナム語の変化や推移現象に関するデータを収集した。また、言語類型の観点から、越日両語の認知的・発想的な特徴について考察し、研究成果としてフエ外国語大学日本語日本文化学科において「日本語とベトナム語における否定表現の対照研究」と題するセミナーを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、フィールド調査、文献収集によりデータの蓄積もかなりのところ達成され、それに基づく分析も各分担者によって着実に行われている。 太田は中国陝西省岐山方言および鳳翔方言のデータを基に合音生成及び形態変化転用へのメカニズムをかなりのところまで明らかにした。 村上は日本語とベトナム語の対照研究で、文法化による動詞の助動詞化を研究し、普遍的特徴について指摘している。 武内、岩尾の古チベット語文献の分析とデータ収集も概ね順調に進んでいる。 林もタイ、ラオスの少数民族言語の資料収集と中国雲南省におけるこれまでの採集データを踏まえた上での補充調査を行い、徐々に疑問点の解明が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度につき、これまでの研究成果を総括して、各自で纏まったかたちで論文もしくは著書の刊行を行う。 太田は陝西省及び河南省で収集したデータを基に、過去3年の研究の総括を行い、本務校である神戸外大の刊行物に成果を発表する予定である。また九月には済南において、研究成果の発表を行い、学術交流を行う。 村上はこれまでの日本語、ベトナム語の対照研究を纏め、文法化のメカニズムについて、さらに詳細な分析を進める。 武内、岩尾は古チベット語文献のデータベース作成を進めて、古チベット語の形成過程と社会言語学的位置づけについて分析する。また武内は五月にハンブルグ、七月にウランバートルで研究成果を公開する予定である。 林は五月にタイでチノ語の借用語に関する研究成果を発表し、学術交流を通じて、関連言語事象のデータを収集する。
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