研究概要 |
この研究は、(1)親族名称と(2)文法(統語比較)という2つの重点比較分野を設定し、研究期間前半の中心を(1)に、後半の中心を(2)にして進めている。以下、それぞれについて述べる。 (1)親族名称研究に関しては、A.昨年度収集した=Haba語の親族名称体系が、ガナグループではなく、近隣のナログループと等しい体系であることを明らかにした(論文は投稿済みである)。B・ガナグループの体系と(コエ語族に属さない)ボアン語の体系が、語彙は共有しないが体系は共有している事実に関して、ガナグループがもつコエ語族内においての「非コエ性」と、ホアン(ジューとともにKx'a語族を形成するという仮説のもとに)が有するジューには見られない要素とに着目し、この共有された体系がイノベーションで出来上がったという見通しを立て、両グループのどのような要素がどちらのグループからどちらのグループにもたらされた可能性が高いと考えられるかについて国際歴史言語学会(大阪:6月)にて研究発表を行った。 (2)文法研究(統語比較)に関しては、コエ語族ガナグループにおける格の発生の議論を進めるため、さまざまな機能を果たす小詞?aについて、収集した談話資料においてどのように出現するかを明らかにしその環境について分析をおこなった。その結果、小詞?aの出現は、構成要素のdislocationおよび文の情報処理に関係があることを明らかにした。この中間段階的な成果報告は、"?a in Glui : copula, participant marker, orsomethinge ise?"というタイトルで、第4回国際コイサン言語・言語学シンポジウム(於オーストリア:7月)において研究発表を行い、コイサン研究者と情報を交換した。また引き続き新規の資料を収集するために、現地調査(ボツワナ国、12月~1月)を実施した。
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