この研究では、アフリカ南部で話されているコイサン諸語・コエ語族内においてさまざまな点で「非コエ語族的」な特徴を有するガナグループの位置づけを再考するために、親族名称体系と文法体系の2つの観点から、ガナグループ成員内・コエ語族内における比較対照を、さらに語族の枠を越えて近隣の言語であるホアン語との比較対照をおこなった。その結果、ガナグループにみられる「非コエ語族的」な特徴は、文法項目においてはコエ語族内で歴史的変遷の結果もたらされた連続体の一部として位置づけ可能であるが、親族名称・親族体系に関しては外部との接触によって獲得されたものとみなすべきであるという結論に達した。
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