研究概要 |
2010年度はこれまでの先行研究を調べ、2011年度以降行う発話データ収集実験のための予備調査及び実験の準備を行った。先行研究では第一言語の韻律特性、特に発話リズムの基本単位が日本語のいわゆる特殊拍の発話、知覚に影響を与えていることが明らかになっているが、発話リズムが異なる様々な言語話者を対象にした日本語の発話実験を行うために、日本国内の日本語教育機関で日本語を教える教員を対象とした発音に関するアンケート調査を行った。最終的には119人から、28言語の学習者に関する結果が得られた。現在、データの収集を予定している中国語(54件)、朝鮮語(27件)、フランス語(8件)、英語(5件)、スペイン語(2件)、ベトナム語(2件)話者に関しては複数の回答が得られたが、スペイン語、ベトナム語は引き続きアンケートを依頼できる日本語教員を募っている。現在アンケートの集計結果を詳細に分析している段階であるが、これまでの分析から、第一言語により、日本語のいい間違いに明らかな傾向があることが明白になった。この結果を考慮し、生成実験用の発話リストを作成している。またアンケートの結果に関して、論文にまとめた。 アンケート調査と並行して、2011年度に行う発話データ収集実験に協力してくれる海外の研究機関の開拓をし、台湾で2箇所(桃園,台北),ベトナムで2箇所(ハノイ,ホーチミン),フランスで一箇所(ボルドー)を確保した。英語話者に関しては日本国内で異なる日本語レベルの学習者が複数確保できることがわかり、スペイン語話者に関しては、スペインでは単独の教育機関では上級話者の人数確保が難しいことが分かったため、両言語話者のデータは日本国内で収集することにした。これらの成果を踏まえて、2011年度に上記各国で発話データの収集を行った。
|