研究概要 |
2011年度は、中国語話者(台湾の世新大学、淡江大学、銘傳大学)、フランス語話者(ボルドー第三大学)、ベトナム語話者(ハノイ大学、ホーチミン大学)の音声発話データの収集を現地にて行い、中国語話者28名、フランス語話者24名、ベトナム語話者24名の発話データを収集した。またコントロールデータとして、日本語話者12名の発話データの収集を東京で行った。被験者は平仮名と片仮名が問題なく読め、基本的な会話ができる、日本語レベル中~上級の大学生と大学院生である。データの収集と並行して、まず中国語母語話者の発話データと比較対象として日本語母語話者のデータの分析を進めている。日本語発話リズムへの第一言語の韻律特性の影響を測る要因として研究計画で挙げた、大域的変数(%V,V/C,ΔV,ΔC,ΔALL.VarcoV,VarcoC,VarcoAll)と、局所的変数(PCIとnPVI)を求め、母語の違いによる特殊拍を含む日本語の発話リズムに違いがみられるか検証した。現在済んでいる日本語母語話者2名と中国語母語話者2名の分析結果に限って言うと、大域的変数と局所的変数を単独で用いた場合、母語の判別率は約75%と低かった。しかし、ΔALLとVarcoALLの二つの大局的変数を組み合わせると、母語の判別率は95.8%と非常に高くなった。つまりこれまでの母語の発話リズムの特徴を表すとされる変数は、第二言語の発話、特に比較的流ちょうな上級話者のリズムの韻律特徴を表すのには不十分で、複数の変数の組み合わせを検証する必要があるらしいことが示唆された.今後、他の言語のデータの分析が進むに従い、他の変数の第二言語韻律特性判別における重要度が明らかになるであろう。 途中経過を日本音響学会とコーパス日本語学ワークショップで発表し、また新しい結果は複数の国際学会に投稿中である
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