研究課題/領域番号 |
22320085
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
木部 暢子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, 教授 (30192016)
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研究分担者 |
上野 善道 国立国語研究所, 理論・構造研究系, 客員教授 (50011375)
久保 智之 九州大学, 文学研究科, 教授 (30214993)
新田 哲夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90172725)
松森 晶子 日本女子大学, 文学部, 教授 (20239130)
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キーワード | 2型アクセント / 3型アクセント / N型アクセントの一般特性 / 池間島方言 / 福井県越前町方言 / 鹿児島方言 / 韓国語のアクセント / 質問のイントネーション |
研究概要 |
アクセント単位の長さに関わらず、一定数の型の対立しか持たないタイプのアクセントをN型アクセントという。本研究では、従来、調査が不十分だった地域のアクセントデータを補うことにより、N型アクセントの一般特性を明らかにし、N型アクセントの形成過程の解明を行うことを目的とする。また、N型アクセント方言は、離島や周辺地域に分布しており、いずれも消滅の危機の度合いが高い方言である。これらの方言の音声データベースを作成することにより、消滅危機方言の記録・保存に貢献することも目的のひとつである。以上を達成するために、今年度は以下の調査研究を行った。 (DN型アクセントのフィールド調査:典型的なN型アクセントである鹿児島方言や、これまで報告の少なかった鹿児島県喜界島方言、沖縄県宮古池間島方言、福井県越前町方言、石川県輪島町方言等の調査を行った。また、同じN型アクセントシステムを持つ韓国語と比較するために、韓国語アクセントの調査を行った。 (2)研究成果の発表:以上のフィールド調査の成果を国際学会で発表した。研究代表者の木部は、鹿児島方言や長崎方言では、質問のイントネーションが下降調になることについて、International Conference on Phonetics and Phonology(京都)、2011年台大日本語文創新国際シンポジウム(台湾)で発表した。研究分担者の久保は、従来2型アクセントと言われていた沖縄県宮古池間島方言のアクセントが3型アクセントであることをThe 17th International Congress of Phonetic Sciences(香港)で発表した。研究分担者の松森は、奄美徳之島岡前方言のアクセントについて、The 20th International Conference on Historical Linguistics(大阪)で発表した。また、5月に神戸大学で科研費公開シンポジウムを開催し、研究分担者全員が発表を行った。 (3)音声データベースの整備:昨年度調査を行った鹿児島県甑島方言アクセントについて、音声ファイルの整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各調査地点のアクセント特徴の分析が進み、研究成果を国際学会で発表することができた。また、N型アクセントの一般特性とN型アクセントの形成過程について考える公開シンポジウム「N型アクセントの原理と成立」(神戸大学)を開催した。これらを通じて、多くの研究者と意見交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、2つの方向で研究を推進する。一つは、音声データの公開である。ただし、公開にあたっては、話者の個人情報に配慮する必要があるため、どのような形で公開するか、話者と相談しながら準備を進める必要がある。そのため、実際の公開までには多少、時間がかかる。二つめは、研究成果の発表である。今後、学会誌への論文の投稿や国際学会での発表を計画している。
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