研究課題
宮古諸島で話される方言、すなわち、宮古方言は、方言話者の高齢化と方言継承の危機によって、その方言の一刻も早い正確な記録が求められている。本研究では、集落ごとに異なる宮古方言の調査・研究を言語地理学的な観点から行い、約350枚にわたる言語地図を作成することによって宮古方言の全体像の解明を目指している。名詞については基礎調査がすでに終了し、データの入力もほぼ完了して多くの言語地図を作成しているが、動詞については基礎的なデータの蓄積が不十分であったので、昨年度に引き続き、動詞の調査(基本文調査、約200文)を研究代表者、研究分担者、研究協力者が互いに協力しあいながら行った。その結果、宮古諸島の各集落ほぼ全域をカバーする基礎資料が揃った。現在、調査表に記入された各集落ごとのデータを清書し、パソコンに入力している段階であるが、こうした基礎資料がデジタル化された時点で言語地図の作成が容易になるものと考えられる。なお、名詞については実際に作成された言語地図によって論文が提出され、地理的な分布の特徴が明らかにされている。そこでは、池間方言(西原方言・佐良浜方言を含む)の独自性や宮古北部方言に見られる音声的な特徴、宮古島中央部と周辺部との方言差、伊良部島、さらには多良間・水納島など宮古島から離れた地域の言語的な特徴が指摘されている。動詞についても、今後、入力データの言語地図化を進めることによって、その地理的な分布が視覚的に明らかなものとなり、宮古方言の言語地理学的な研究を進展させることができるであろう。また、調査によって収集されたデータは今後の言語継承のための基礎資料として活用することも可能であり、言語研究と言語継承の双方の観点から地域へ還元することも期待できる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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沖縄国際大学日本語日本文学研究
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