研究概要 |
1. 文章作成支援リソースの内容と構成の再検討 昨年度まで継続していた基盤研究(C)による実績をもとに、留学生大量受け入れという新たな背景を視野に入れ、支援可能な学習者の日本語レベルや母語(漢字圏・非漢字圏)の背景を十分に考慮した上で、当該リソースの構成を再検討した。特に自律的学習支援を促すタスクのあり方の検討とタスク集の開発について、従来の市販教材との差別化を図るべく,盛り込む内容と構成を検討した。 2. 学習者のライティング関連の学習背景とライティング上の問題に関する調査・分析 以前から研究している、学習者の文章における構成や論理展開の問題についても、データを増やして問題を分類し、原因を分析してきた。学習者への聞き取り調査からも、彼らの学習への意識もデータに含め、論文スキーマの形成過程を質的に分析した。特に,他者の文章を評価するライティングタスクを通じた授業実践での学習者の発話によるコメント、および学習者へのインタビュー調査によって、成功者の文章作成能力獲得過程の事例をより詳細に記述した。 3. 海外での調査 初年度は予備調査として、台湾の大学に出張して調査を実施した。具体的には.研究代表者が研究上の交流がある台湾の銘傳大学における複数の研究者を訪問し、日本に学生を送り出す海外の大学の日本語教育事情、特にライティング指導について聞き取り調査を行い、また,日本語学習のライティング学習の現状等について調査した。海外では一般に1クラスのサイズが大きく、教員による文章添削の負担が問題となっている。それらをできるだけ軽減するために.学習者の協働での学習活動を取り入れている事例も明らかとなった。
|